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国際宇宙ステーションNASAステータスレポート

国際宇宙ステーション・ ステータスレポート#02-33
第5次長期滞在クルー
2002年 7月 26日(金)午後4時00分(米国中部夏時間)
2002年 7月 27日(土)午前6時00分(日本時間)



コマンダー(船長)のワレリー・コルズン、米国の宇宙飛行士ペギー・ウィットソン、ロシアの宇宙飛行士セルゲイ・トレシェフは、今週、国際宇宙ステーション(ISS)に搭乗してから宇宙滞在50日目を迎えました。その間、科学研究や修理保全作業、教育プロジェクトへの参加、故郷の地からのニュースインタビューへの対応を行いました。

微小重力研究の一つとして、密閉されたアンプル内での隔壁を使用した凝固実験(Solidification Using a Baffle In Sealed Ampoules experiment:SUBSA)という半導体結晶成長実験が行われました。ウィットソンは、デスティニー(米国実験棟)にある微小重力研究グローブボックス(Microgravity Science Glovebox:MSG)内のSUBSAをセットアップし、起動しました。実験では、半導体のサンプルが融点まで熱せられ、その後冷され凝固しました。ウィットソンは、その実験の様子を写したテレビ画像を地上に送りました。結晶成長炉が透明で外から観察できるように設計されているため、科学者たちは宇宙で初めてアンチモン化インジウムの凝固の様子を見ることができます。この実験の目的は、地上の様々なコンピュータや電子機器への応用を目指して大型で純度の高い半導体を作る技術を開発するものです。

ウィットソンはまた、発展型植物栽培装置(Advanced Astroculture experiment:ADVASC)内で栽培されている大豆の生長状況を写した電子画像を撮りました。この画像を見ることで、地上の科学者達は大豆の花が咲き始めたのを確認できました。科学者達は、宇宙で初めて大豆を種から生長させて種を収穫するまで行うこの研究の結果、改良された油分・たんぱく質・炭水化物成分を含む大豆を開発できると期待しています。

3人の宇宙飛行士は、8月16、23日に予定されている船外活動(EVA)に関連した生物学的な実験を行いました。彼らは交代で、EVA及び長期間の微小重力環境が与える肺機能への影響を調べる実験(The Effect of EVA and Long-term Exposure on Microgravity on Pulmonary Function:PuFF)の感度の高い測定装置に取り付けられているチューブに息を吹きました。彼らはまた、バックグラウンド放射線の読み取りを行いました。これにより、EVA時に使用する冷却下着のポケットに取り付けて使用するセンサーから読み取る放射線強度を校正できます。

コルズンとウィットソンは、「ピアース」(ロシアのドッキング室)から外に出て、1回目のEVAを行う予定です。これにより、ISSの高度242マイル(約389 km)の軌道上で原子状酸素に曝露させる新しいロシアの材料サンプルと、宇宙デブリからズヴェズダ(ロシアのサービスモジュール)を保護するためのパネルを取り付けます。コルズンとトレシェフは2回目のEVAを行い、日本の材料サンプルと2つのアマチュアラジオアンテナを取り付ける予定です。
(NASDA訳注:ここの日本の実験に関する記述は不正確です。このEVAでは、NASDAの材料曝露実験サンプルの1つを回収すると共に、残りの2個のサンプルの取り付け位置を変更する予定です。)

今週の作業は、「クエスト」(エアロック)の遠隔電力制御モジュール(Remote Power Controller Module: RPCM)の交換作業から始まりました。この装置は故障の兆候を示していました。復旧可能ではありましたが、地上の技術者は交換することを薦めました。コルズンとウィットソンは交換を無事終了し、ヒューストンのフライトコントローラ達は新しい装置が正常に機能していることを確認しました。古い装置は詳細な検査と分析を行うため、地球に持ち帰られる予定です。

ミッション管制センターはまた、コルズンとウィットソンによる二酸化炭素除去装置(Carbon Dioxide Removal Assembly:CDRA)の修理作業を行いました。2人は先週、2つの二酸化炭素の吸着部(反応層)のうち片方を交換しました。この反応層には、クルーの吐いた余分な二酸化炭素を吸収するゼオライト結晶が含まれています。23日にフライトコントローラ達は交換した反応層の起動を試みました。しかし、交換前と同様、低い割合ではありますが、漏れている兆候を示してしまいました。地上の生命維持システム担当の技術者達は、反応層を交換しても正常に機能していないCDRAの他の部分に漏れがあると疑っており、データを分析し、他の修理方法を考えています。彼らは、もう片方の反応層だけでもCDRAは正常に機能することを確認しました。ロシアのモジュールにある除去装置が、現在全ての二酸化炭素の除去を行っており、第5次長期滞在クルーとこれから訪れる予定のタクシー・クルーの活動に必要とされる二酸化炭素の除去を行います。

第5次長期滞在クルーは、25日に、振動分離機構付きトレッドミル(Treadmill Vibration Isolation System:TVIS)の上を走ったり歩いたりすると異音が生じると報告しました。その結果、この装置を使った運動は一時停止されました。その代わりに、クルーは心肺機能や筋肉の状態を維持するため、他の据え付けの自転車こぎ器や筋力トレーニング装置を使う予定です。地上のトレッドミルの専門家は、効果的に修理できるように、TVISを模擬したものを使用して問題を再現させようとしています。

十分な火災訓練や、消火器、非常用酸素マスクのような緊急器具の点検によって、3人のクルーは、ISS内の不意の火災に対応する準備が整っていることを確認しました。

クルーは、教育プロジェクト「宇宙でのおもちゃ(Toys in Space)」のため、この様子を録画しました。この教育プログラムは、次世代の宇宙関係者を育てるため、学生達に科学や工学、数学を勉強する意欲を沸かさせようとするものです。クルーは、ヨーヨーやジャイロスコープ、サッカーボール、小型ホッケーゲームなどのおもちゃを使って、微小重力環境下でのおもちゃの挙動を撮影しました。

ロシアの当局者は、米国中部夏時間8月1日午前11時(日本時間8月2日午前1時)に予定されているISSのリブースト(軌道の引き上げ)に備え、ルーチン的に行われているプログレス補給船のスラスタの配管系の試験を行いました。リブーストにより、9月に打ち上げられる次のロシアのプログレス無人補給船と、10月のソユーズ宇宙船の到着に備え、ISSは最適な高度に上げられます。

ISSクルーの活動状況、今後の打上げ日時、また地上のある地点からのISSの可視状況などについてはhttp://spaceflight.nasa.govをご覧ください。

ISSでの科学実験の模様については、アラバマ州ハンツビルのNASAマーシャル宇宙飛行センターのペイロード運用センターのサイトhttp://www.scipoc.msfc.nasa.goをご覧ください。

次回のISSステータスレポートは8月2日に、あるいは何かのイベントが発生した時点で発行する予定です。



出典: http://spaceflight.nasa.gov/spacenews/reports/issreports/2002/iss02-33.html

最終更新日:2002年 7月31日


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