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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年9月29日

多目的実験ラック(MSPR)への燃焼実験チャンバ(CCE)と液滴群燃焼実験供試体(GCEM)のインストール完了


9/28

GCEM(ジーセム)タスク2日目。
今日が実験準備の山場です。
昨日最終組み立てを行った、GCEM本体とチャンバーを、「きぼう」の多目的実験用ラックにインストールして、必要な配管・コネクターを接続する作業です。

朝イチに筑波の管制チームとのテレコンがあったのですが、そこでもメインのトピックはこのGCEMでした。
MEISTER(マイスター)という、多目的実験ラックの担当ポジションの西田さんから、今日のタスクの注意事項について説明を受け、私から聞きたかった確認事項についても質問しました。

途中で西田さんが1枚のプリントを画面に出しました。
ボンベとバルブが描かれています。

西田さん「今日のタスクで一番難しいのは、このコネクターの接続かもしれません」

私「・・・了解です(`・д´・ ;)」

西田さん「ちょっと言葉で説明しづらいのですが、コツが必要です。こっち側のパイプはある程度動かせます。それから、コネクターのこの部分も自由な角度に調節出来ます。その2つを上手く組み合わせることによって接続してください」

私(うーん、確かに言葉では全くわからない・・・)
「わかりました、とりあえずやってみます。どうしても上手くいかなければ、その時は通信で相談させてください」

そんなこんなで始まった2日目のタスク。

いきなり必要なケーブルがバッグの中に見つからないというトラブル。
膨大なツール・パーツを管理している物品管理アプリがあるのですが、そのデータベースに登録されている場所に物がないという、ISSで比較的よくあるトラブルです。
前に使った時に間違った場所に収納していたり、収納するのを忘れて元の場所にそのまま放置されていたり、原因は様々です。
筑波の管制チームに状況を伝えて、考えられる他の候補場所を検討してもらう間、もう1度バッグの中を漁ってみると、別のケーブルのプチプチの袋に一緒に入っていました。

(もっとじっくり探してから、筑波に知らせれば良かった・・・)

と多少バツが悪かったものの、まあ仕方ありません。
筑波もホッとしたに違いありません。

チャンバーの側面のコネクターを接続して、ラックの中に入れる準備完了です。
ラックの中のスペースにぎっちり入る設計なので、入れてからでは側面のコネクターの接続が出来ないのです。
ハンドルを握ってチャンバーを持ち上げると、腕にずっしりと重い手応えがあります。
これは地上では相当な重さに違いありません。
ラックの、先日コールドプレートとその上のアダプタープレートを載せたさらにその上にチャンバーを入れます。
確かに狭いですが、チャンバーが重い分とても安定しているので、ゆっくり慎重に入れていけば問題ありませんでした。
個人的に第一関門だと思っていたステップを無事に通過。

次にラックとチャンバーの間の接続をしていきます。
まず当然ですが電気ケーブルは必須です。
それから通信ケーブル各種。
最後の1本の接続が場所が狭い分なかなか上手くいかず、筑波に邪魔な位置にある接続済みのケーブルを一旦外して良いか聞くと、すぐにOKをくれました。
ISSに来たばかりの頃は、こういう場合結構長い間頑張ってたんですが、最近は良い意味で無理をしなくなったように思います。
頑張っても厳しいパターンが見えてきたと言いますか・・・
案の定、邪魔になっていたケーブルを外すと、すぐに接続できました。

一通りの接続が終わって、タスクももう一息です。
最後に待ち構えていたのが、例のボンベ!
西田さん曰く、コツが必要というあのコネクターです。
最後の最後に登場するところが憎いですね。

まずはボンベを設置して、問題のコネクターを下見です。
一見、そんなに難しそうには見えません。
いや、しかし油断は禁物です、何しろテレコンでわざわざ注意するくらいですから。

じっくりと手順書を再確認して、接続箇所をチェックし、とりあえず1度目のトライ。

と。

スコーン!

と、拍子抜けするくらい一発で簡単に繋がりました。
これにはさすがに、_(┐「ε:)_ズコー

に、西田さん・・・

まあ、無警戒でハマるよりは、警戒していて杞憂に終わる方がよっぽど良いですね。
地上のモデルと実機のちょっとした違いがあるのでしょう。
というか、あまりにも簡単に繋がったので逆に本当に繋がっているのか心配になったくらいです。
地上にリアルタイムで送られているビデオカメラでそれを見ていたJ-COMの嶋宮さんが、

「やりましたね!」

と祝福してくれました。

私「いや、楽勝だったんですけど(;゛゜'ω゜')」

何はともあれ、GCEMの設置は無事に終わりました!
明日はチャンバーのリークチェックを行います。
それから、ヨーロッパ宇宙機関ESAのEnergy(エナジー)実験も始まります。
これは私が被験者になる実験なのですが、とても楽しみです。
その理由はまた明日。



 
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