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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年8月 3日


8/2

今日の午後、避難訓練がありました。

もとい、緊急事態対処訓練です。

ISSの6人クルー全員、それと地上の全管制センターを巻き込んでの大掛かりな訓練です。
ヒューストンとモスクワのインストラクターがシナリオを組み、もちろんその内容は訓練に参加するクルーや管制官には知らされません。

クルーも管制官も、それぞれ自分たちの訓練で緊急事態への対処は何度も学びますが、こういった統合型の訓練を受ける機会はほとんどありません。 周りのメンバーとの連係が鍵になります。

また、私たちクルーの訓練では通常、地上との交信が切れている設定か、地上の管制官が全く頼りにならない設定のどちらかで、大概の問題を自分たちで解決しなければいけないのですが、今日の訓練は参加者全員本気モードです。

もちろん、実際にISSのシステム機器を操作するわけにはいきませんので、各チームPCやタブレット上のシミュレーターを使って、機器の操作を模擬します。
例えば、クルーがあるハッチを閉める手順になっていたとすると、実際にそのハッチは閉めず、手元のタブレット上で閉める操作を入力すると、地上の全チームのシミュレーターにもその情報が反映されるようになっています。 なるべく実際の状況に近づけるために、クルーはISS内を実際に移動していきます。

地上との交信時には、「これは訓練です」というのを必ず付け加えることになっています。
そうしないと、事情を知らずにその交信を聞いた人がビックリしちゃいますからね。

今日のシナリオは2本でした。

①アメリカ区画でアンモニア漏れ発生
外部熱冷却装置に使用されているアンモニアが船内に漏れるという事態で、アンモニアは人体に有害なので、初期対応は酸素マスクを着用して、アメリカ区画を退避します。
ハッチを閉めてアメリカ区画を隔離したあとは、計測器でアンモニア濃度を測ります。
その値でそのあとの対応が変わるのですが、今日は濃度が濃すぎて、そのままロシア区画からも退避してソユーズに逃げ込むという設定でした。
最終的にはアンモニア濃度が下がってからロシア区画に戻ったところでケースクローズ。

②「コロンバス」モジュールの実験用ラックから火災発生
今回の標的はヨーロッパの「コロンバス」でした。
つくばの管制センターの仲間たちはホッとしたかな?(^^)
最初は「コロンバス」の周辺で焦げ臭い匂いがするというグリーンカードから始まったのですが、警報を鳴らして手順を進めている間に、実験用ラックの火災自動検知システムが作動。
火元を特定するためには一酸化炭素濃度を測定するのですが、その測定箇所を調べようとケイトと私がPCを操作しようとしていると、

「コロンバスのA3-H2の場所の濃度を測定するように」

と地上から指示が。
これには私もケイトも、

「地上、すげー!」

と感動。
私たちの数手先を行っているようです。
訓練の時の、全く頼りにならない管制チームとは比べ物になりません(当たり前ですが)。
本気モードの管制チームはさすがです。
さらに地上からその周辺の電気機器をリモート操作でシャットダウンして、火災は鎮火。
私たちクルーには濃度の測定くらいしかやる隙を与えず、ほとんど地上からの操作で消火してしまいました。
ちなみに、宇宙では空気の循環を止めると、火は周囲の酸素を消費し尽くしたあと自然に鎮火します。

2本のシナリオで、クルーと地上間の連係や、クルー間の連係を確認することが出来、有意義な訓練でした。

前後しますが、今朝、台湾の台北市の子供たちとアマチュア無線で交信しました。
「大西さん、こんにちは!」と日本語で呼びかけてくれました。
交信時間が短くて、予定されていた全員の子供たちの質問に答えることは出来ませんでしたが、とても楽しかったです。
子供たちと話をするのは、こちらが楽しくなってしまいます。
日本の方々とも是非交信してみたいです。
交信イベント以外でも、フリータイムに無線使っても良いといわれているので、今度それにもトライしてみようと思っています b( `・ω・´)ク゛ッ



 
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