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ミッション結果の要約


飛行目的
 スペースシャトルアトランティス号によるSTS-98ミッション(5Aフライト)は、国際宇宙ステーション(ISS)組立ての9回目のミッションであり、スペースシャトルによるものとしては7回目になります。
 この飛行はISSの初めての科学研究施設である米国の実験棟デスティニーを取り付けることを主たる目的としています。
 この飛行では3回の船外活動が実施されましたが、その3回目は米国史上100回目で、スペースシャトルとしては60回目の船外活動となる、記念すべき飛行でした。


飛行概略
 飛行の概略は以下のとおりです(明示のない時間は米国中部標準時間です)。
詳細はステータスレポートをご覧下さい。

  1. 打上げと帰還日時
    打上げ 2001年 2月 7日午後 6時13分(米国東部標準時間・・・打上げ地の時刻)
    (日本時間2月8日午前 8時13分)
    帰還 2001年 2月20日午後 0時33分(米国太平洋標準時間・・・帰還地の時刻)
    (日本時間2月21日午前 5時33分)
     帰還は強風や悪天候のため2日間延期され、3日目にケネディ宇宙センターの代替地であるカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地に着陸しました。
    総飛行時間12日21時間20分


  2. ISSとのドッキングおよびアンドッキング日時
    ドッキング2001年2月9日午前10時51分(日本時間2月10日午前 1時51分)
    アンドッキング2001年2月16日午前 8時06分(日本時間2月16日午後11時06分)
    ドッキング期間6日21時間15分


  3. 船外活動(EVA)
    この飛行では1日おきに計3回の船外活動が行われました。
    第1回船外活動(飛行4日目)
    開始時刻2001年2月10日午前 9時50分(日本時間2月11日午前 0時50分)
    終了時刻2001年2月10日午後 5時24分(日本時間2月11日午前 8時24分)
    作業時間7時間34分
    作業者トム・ジョーンズ、ボブ・カービーム
    作業内容
    1. ドッキングポート(PMA-2)をユニティから取り外し、Z1トラスのMBM(手動結合機構)への仮置き。
    2. デスティニーをロボットアームでISSへ取り付ける際の位置決め指示。
    3. デスティニーとISS間の電力、通信ケーブルや冷却用配管の結合。
    第2回船外活動(飛行6日目)
    開始時刻2001年2月12日午前 9時59分(日本時間2月13日午前 0時59分)
    終了時刻2001年2月12日午後 4時49分(日本時間2月13日午前 7時49分)
    作業時間6時間50分
    作業者トム・ジョーンズ、ボブ・カービーム
    作業内容
    1. Z1トラスのMBMに仮置きしたドッキングポート(PMA-2)を、ロボットアームでデスティニーに移設する作業の支援。
    2. 打上げ時にデスティニーをペイロードベイに固定していた4本のピンへの断熱カバーの取り付け。
    3. デスティニーの気圧調整システムへの排気口の取り付け。
    4. デスティニーの外壁へのワイヤ、ハンドレール、船外活動用の足場を取り付けるソケットの取り付け。
    5. 2001年4月にシャトルで打上げ予定のISS用のロボットアームを取り付けるための基盤をデスティニー外壁に取り付け。
    6. PMA-2とデスティニー間の電力、通信のケーブルの接続。
    7. デスティニーの観測用窓のカバーの取り外しと、保護用シャッターの取り付け。
    第3回船外活動(飛行8日目)
    開始時刻2001年2月14日午前 8時48分(日本時間2月14日午後11時48分)
    終了時刻2001年2月14日午後 2時13分(日本時間2月15日午前 5時13分)
    作業時間5時間25分
    作業者トム・ジョーンズ、ボブ・カービーム
    作業内容
    1. 予備のSバンド通信アンテナの取り付け。
    2. 前回までの船外活動時でトラブルを生じたコネクタの接続状況の点検。
    3. P6トラスのラジエータの固定具の解放。
    4. ISS頂部の太陽電池パドルの取り付け機構の検査。
    5. 行動不能となったクルーメンバーをシャトルのエアロックに連れ戻す方法の検証。


  4. 船内活動
     ISSには2000年の11月から3名のクルーが常駐しています。ISSクルー3名とSTS-98クルー5名は、共同あるいは単独で、ミッション期間中に以下の作業を行いました。



  5. リブースト(軌道高度を上昇させる軌道制御)
     リブーストとは軌道高度を上昇させるための軌道制御のことです。ISSは、空気抵抗で高度が日々下がっています。そこで、その次のスペースシャトルが到着するまでの高度低下を見込んで、スペースシャトルをISSから分離する前にISSの軌道高度を予め上昇させる軌道制御を実施しています。STS-98ではリブーストを以下の通り実施しました。

    実施日上昇高度備考
    2月10日1マイル(約1.6km)ロシアの使われなくなった人工衛星との接近を回避するために臨時に実施
    2月11日5マイル(約8km)2回に分けて実施
    2月13日6マイル(約9.6km)2回に分けて実施
    2月15日5マイル(約8km)2回に分けて実施


実施結果
 ISSに最初の実験施設デスティニーが取り付けられました。その他、以下の機能がISSに追加されました。
  • Z1トラスに取り付けてあったコントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)が起動され、スラスタをほとんど使わずにISSの姿勢制御ができるようになったため、推進剤を節約することができるようになりました。また、姿勢制御精度も向上し、実験運用を行うための微小重力環境を維持できるようなりました。
  • 米国側の生命維持システム(温湿度制御、汚染ガスの監視除去など)が使えるようになりました。
  • Sバンド通信システムが高速データ通信できるようになり、音声交信が可能な範囲が広がるなど、地上との通信環境が改善されました。

 この飛行中に合計約3,000ポンド(約1,350kg)の補給品をISSに搬入しました。補給品は飲料水、食料、予備の部品、予備のロシア製の二酸化炭素除去システム、予備のコンピュータ、衣服、娯楽用の映画のDVDなどです。また約850ポンド(約382kg)のゴミ、使用済みバッテリ、不要となった梱包部材、空の食料容器などをISSからスペースシャトルに搬出しました。


不具合など
  1. 冷却用のアンモニア冷媒の漏洩
     第1回目の船外活動で冷却用のアンモニア配管を接続する際、アンモニアが漏れて飛散したため、その作業をしていたボブ・カービームがしぶきを浴び、約0.9kgのアンモニアが失われました。宇宙服に付着したアンモニアは船室に入るまでに細心の注意を払って除去され、船内が汚染されるような事態には至りませんでした。

  2. 二酸化炭素除去システムのポンプの故障
     デスティニー内に設置された二酸化炭素除去システムのポンプが電源を入れても作動しませんでしたが、同様な機能のロシアの装置が作動しているため、解決に急を要するものではなく、次のSTS-102で修理用の部品を運ぶことにしています。

  3. コントロール・モーメント・ジャイロの不具合
     Z1トラスに4基取り付けられているコントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)のひとつが、起動後間もなく短時間制御から外れるという事態が発生しましたが、短時間で復旧し、その後は問題なく稼働しています。なおCMGは2基が稼働していればISSの姿勢制御は実施することができます。


最終更新日:2002年 1月 11日

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