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地上400kmの宇宙空間に、1998年から日本を含む世界15ヶ国が協力して建設したのが、国際宇宙ステーション(International Space Station:ISS)です。ISSの構成要素は40回以上に分けてスペースシャトルやプロトン、ソユーズロケットにより打ち上げられ、完成は2011年7月です。
ISSは、最大で6名の宇宙飛行士が 宇宙空間で安全に生活し、実験するための機能を持った宇宙空間の実験施設です。微小重力環境という地上と異なる宇宙空間では、地上では難しい研究テーマの実験が可能になります。例えば、難病の克服に結びつく新薬の開発や、微小重力環境でなければできない新素材の開発なども行われます。
また、大気によって妨害されることなく天体観測を行うことができたり、地上では見ることのできない地球の環境を見ることもできます。宇宙ステーションからは、地球の表面の約85%を観測することができます。この未来に繋がっていくISS計画は、国と人種を超えて、今まさに宇宙空間で行われているのです。 |
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ISSは宇宙空間に浮かぶ構造物として、人類史上で最大のものです。船内の広さは935m3です。
完成すると全体の大きさは横幅約108m、奥行き約70mになり、これはサッカー場のフィールドと同じくらいの大きさです。また、重さは約420トンになり、小型乗用車1台分の重さが約1トンとすると、ISSは小型乗用車約420台分と同じ重さになります。この巨大な建造物は、アメリカのスペースシャトルやロシアのロケットで40数回に分けてパーツを打ち上げ、軌道上で少しずつ組み立てられました。
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ISSは、地上から高さ約400km上空を飛んでいます。地球を約90分間で一周、一日では16周します。
その速度は時速約28,000km、秒速で約8kmのスピードです。ライフル銃の弾の初速度が秒速約2.5〜3kmですから、ISSは鉄砲の弾よりも速いスピードで地球の周りを飛んでいるわけです。
これでは映画のヒーローもよけることはできないかも知れないですね。
そしてISSは地球の赤道に対して51.6度の角度で飛んでいるので、地球の陸地のほとんどを見渡すことができます。逆に、地上からもISSはよく見えます。条件が良ければ、夜空に輝く一等星よりも明るく見えるときもあります
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ISSはアメリカ、ロシア、カナダ、ヨーロッパ宇宙機関、そして日本が協力して軌道上で組み立てて建設されました。それぞれの国がISSのパーツを開発しました。
日本(宇宙航空研究開発機構 JAXA)は、「きぼう」日本実験棟やISSに物資を補給する宇宙ステーション補給機(HTV)を提供します。
アメリカ(米国航空宇宙局 NASA)は、各国と調整を取りながら、総合的なまとめ役を担当します。提供する要素は、実験モジュール、居住モジュールのほか、ロボットアームを設置するトラスという部分、さらに太陽電池パネルを含む電力供給系などです。
ロシア(ロシア連邦宇宙局 Federal Space Agency : FSA)は、一番はじめに打ち上げられる基本機能モジュール、ザーリャ(Zarya Functional Cargo Block: FGB)のほか、2つの実験モジュール、最初の居住スペースとなるサービスモジュール(Zvezda Service Module)、搭乗員の緊急帰還機(ソユーズ)などを担当します。
ヨーロッパ諸国(欧州宇宙機関 ESA)は、ヨーロッパの国々が集まったESAという団体の中から11か国(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、スペイン、オランダ、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン)が参加し、主に実験モジュールを提供します。
カナダ(カナダ宇宙庁CSA)は、宇宙ステーションの組み立てや、装置の交換に使用するロボットアームを提供します。カナダはこれまでにも、スペースシャトルで使われるロボットアームを製造した実績を持っています。
基本的にISSには滞在する宇宙飛行士が船内で様々な実験をする実験モジュールと、寝起きや食事など生活をする居住モジュールがあります。
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実験モジュールでは日本が開発し運用を行う「きぼう」日本実験棟があります。
主に、「きぼう」の中心となるのは実験スペースで、宇宙飛行士がシャツ姿で実験を行うことができる「船内実験室」、宇宙空間にさらされた環境で実験を行う「船外実験プラットフォーム」という2つの実験スペースがあります。船内実験室には、実験試料などを船外実験プラットフォームとやりとりするためのエアロックがあります。
さらに、それぞれに付いていて実験装置や試料、消耗品などを保管する倉庫の役割をする「船内保管室」と「船外パレット」があります。そして船内から操作して実験や作業に使用する「ロボットアーム」と、日本独自で地上との双方向通信を行う衛星間通信システム、合計6つの構成で「きぼう」は成り立っています。
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ISSが飛んでいる宇宙環境は、微小重力、高真空、広大な視野、宇宙放射線、豊富な太陽エネルギーなど、地上とは異なる特徴を持っています。その宇宙環境を利用して、広い分野の研究や実験、観測を行うことができます。
ライフサイエンス研究の実験もその一つです。ISSでは、宇宙環境、特に微小重力の状態に置かれた生体の中では何が起きているのか、植物、水棲生物や小動物の飼育実験を行い、発生、成長、世代交代などを通して、宇宙環境がおよぼす影響を調べています。
写真は、2002年11月8日に撮影されたソユーズ・タクシー・クルー、コマンダーのセルゲイ・ザリョーティンが植物成長実験を観察している様子です。タクシー・クルーの8日間の滞在中、医学実験、たんぱく質結晶成長実験、材料処理実験を行いました。
また、微小重力環境下での人間の生理現象や、デスティニー(米国実験棟)の微小重力研究グローブボックス(Microgravity Science Glovebox: MSG)の中での結晶の成長の仕方、合金の形成の様子も観察しました。
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国際宇宙ステーション(ISS)は、高度約400kmの軌道を飛行します。ISSの中での重力は10のマイナス6乗gから10のマイナス4乗g、すなわち地球上の重力の100万分の1から1万分の1という値です。
この条件では、物質に「重さ」が無くなってしまい、その結果、物質に浮力が無くなり、流体中の物質は浮かんだり沈んだりすることがなく、さらに、流体を加熱しても対流は起こりません。
また、流体中の物質には静水圧がかからないので、例えば流体中にできた気泡は、いつも同じ大きさです。
これらの特徴は、結晶成長や臨界点物理学などの研究に有効です。さらに、流体を容器に入れないで保持することができるので、容器からの不純物の混入を防止できるだけでなく、地上では考えられない独特の実験を行うことができるのです。
写真は、第6次長期滞在クルーによる科学実験、水泡内に生成された塩化ナトリウムの結晶です。2003年3月13日、ISS、デスティニー(米国実験棟)で撮影されました。
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国際宇宙ステーション(ISS)の組み立てと、その維持管理のためには、船外活動(Extra Vehicular Activity: EVA)は不可欠です。
組立のためには、1000時間(約160回)以上のEVAが必要とされています。 ISSの組み立てには、日本人宇宙飛行士も活躍しています。写真は、2002年4月11日に行われたSTS-110、MSレックス・ウォルハイム宇宙飛行士によるS0トラス取り付け作業の様子です。
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国際宇宙ステーション(ISS)の中は、1気圧に与圧され、温度、湿度共に常時快適な環境に制御されていて、寝室、トイレ、運動のスペースなど、宇宙飛行士が健康に暮らすために必要な機能がすべて備えられています。
微小重力環境のため、ISSの中では、地上で簡単にできることも意外と難しいことがあります。普段の食事は、お湯で戻すものやレトルト食品、缶詰などを食べていますが、スペースシャトルやプログレスで補給が来たときだけは、野菜やフルーツなど生鮮食品が食べられます。
写真は、第5次長期滞在クルーのフライトエンジニアのセルゲイ・トレシェフとNASAのISSサイエンスオフィサーのペギー・ウィットソンが、食事をしている様子です。2002年11月4日に撮影されました。
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ISSの中では、重力がない分、筋力を使うことが少なくなり、筋肉や骨が痩せて細くなってしまいます。骨量減少や筋萎縮を予防する方法として、宇宙飛行士は毎日ISSの中で筋力トレーニングを欠かしません。
写真は、2004年4月12日に撮影された第8次長期滞在クルー、コマンダーのマイケル・フォールがサービスモジュールで、トレッドミル(Treadmill Vibration Isolation and System: TVIS)を使い筋力運動をしている様子です。
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