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コラム ―宇宙開発の現場から―

コラム―宇宙開発の現場から―
【国際宇宙ステーションと世界の旅】 Vol.7 第七日目 宇宙メダカのためなら、えんやこら。種子島宇宙センターへの旅
 今回は外国では無いですが、同じく海外!?にある種子島宇宙センターを紹介したいと思います。種子島宇宙センターは、1969(昭和44)年、旧宇宙開発事業団の発足とともに設立され、鹿児島県の南部、種子島にあり、「世界一美しいロケット発射場」と言われています。

種子島宇宙センターの海
種子島宇宙センターの海
 
インギー鶏レストランの夏
インギー鶏レストランの夏
 この旅(出張)の目的は、茨城県筑波宇宙センターから鹿児島県種子島宇宙センターに、宇宙ステーション補給機「こうのとり」(H-Ⅱ Transfer Vehicle:HTV)3号機(2012年7月に打上げ済み)でISSに打上げるための実験器材を運ぶことでした。この実験器材は、現在(2012年12月)ISSにて実施中のメダカ実験に使用する器材で、危険品扱いの試薬が少し含まれているため飛行機には手荷物では持ち込めず、また冷蔵する必要があるために、陸路にて慎重に、かつ迅速に手持ち輸送することにしたものです。実は、私(宇宙環境利用センター谷垣文章)、就職してから世界のロケット発射場として米国・NASAケネディ宇宙センターやロシア・バイコヌール宇宙基地には行きましたが、種子島宇宙センターは初めてなので、「世界一美しい発射場」というのは本当なのか確認したいという個人的な目的もありました。それでは、出発です。  
JAXAの事業所・施設
JAXAの事業所・施設


 さて、種子島に行くためには、通常は、飛行機で羽田から鹿児島経由で種子島へ行くところですが、前述の理由で陸路となります。事前のテスト(リハーサル)通りに、実験器材を保冷ボックスに氷詰めして温度記録計をセットします。この保冷ボックスは真空断熱板が6面に入ったスグレ物です。そして冷蔵温度を確認しながら、つくばを6時30分に出発です。  
輸送に使った保冷ボックス(種子島到着時)
輸送に使った保冷ボックス(種子島到着時)
 つくばエクスプレスから新幹線「のぞみ13号」に乗り換え、東京から博多まで約5時間の旅です。大阪・博多間はあまり乗ったことが無かったんですが、意外にトンネルが多いんですね。おかげでパソコンのネットの無線がブチブチ切れるので、そのたびに接続しなおしてメールと格闘していたら、あっというまに時間が過ぎていました。途中、広島あたりで「九州新幹線が、大雨のため熊本から鹿児島まで運転見合わせ中」とのアナウンスがあり、いや~な予感。熊本で1泊することになっても、スケジュール的には回復可能ですが、博多に着いてみたら、運良く予定通りに運行できそうとのこと。「さすが、九州新幹線!」と勝手につぶやき、雑誌で見て一度は乗りたいと思っていた新幹線800系に乗り込みました。800系は「つばめ」と「さくら」に使われているようで、今回は「さくら411号」になります。内装は和テイストで木材が多用されており、2+2シートのゆったりした作りで、予想通りの旅情感満点のゴージャスな雰囲気です。テンションが上がり、これまでの疲れも吹き飛びます。保冷ボックス内の氷の状態を確認し、約1時間半の旅の後、予定通り午後3時前に鹿児島中央駅に着きました。

右側が新幹線800系(博多にて)
右側が新幹線800系(博多にて)
 
新幹線800系の内装
新幹線800系の内装
 次の乗り物も私としては初体験になります。子供の頃に図鑑で見た水中翼船(ジェットフォイル)です。ホーバークラフトと同じくらい「不思議な乗り物だなあ」と思っていたものです。乗客専用の船でトッピー号とロケット号があり、鹿児島から種子島(西之表港)を1日7往復しています。午後4時に乗り込み、1時間半の船旅です。カーフェリーだと3時間半かかるらしいので、やはり速く、旅情を感じる暇もないほどです。あまり揺れずに乗り心地も良く、午後5時半に西之表港に着きました。ここまで、つくばから11時間かかっています。思えば遠くに来たもんだ。
 西之表港には、「こうのとり3号機」打上げのお知らせ看板が設置されていました。一般見学場所は、長谷展望公園、前之峯グラウンド、宇宙ヶ丘公園の3か所とのこと。事前に種子島勤務の同僚から聞き出した情報によると、おすすめは長谷展望公園で、ロケット打上げ時は宇宙センターのカウントダウンの音声が流れるそうです。

水中翼船「トッピー号」
水中翼船「トッピー号」
 
ロケット打上げ案内
ロケット打上げ案内
 レンタカーを借りて、氷をコンビニで買って保冷ボックスに補充し、さあ、いよいよ種子島宇宙センターへの最終アプローチです。右手に青い海を見ながら、夏を感じつつの爽快なドライブで、もうこのままボケーとのんびりしたい衝動に駆られます。南国のゆるやかなムード(のハズ!)に浸りつつ、旅行気分は最高潮です。やっぱり西に来ると日没も遅い。1時間半かかって、午後7時に種子島宇宙センターに到着しました。筑波宇宙センターを出てから約13時間の長旅でした。保冷ボックスは翌朝に種子島宇宙センターの施設に搬入することにしています。温度も適温に保たれていて、手持ち輸送は大成功でした。

 さて、種子島宇宙センターでは、ISSに運ぶ荷物の「こうのとり」への最終搭載作業が進められていました。既に多くの物品は約4~5ヶ月前に種子島に運び込まれて搭載作業が完了しています。保存期間の短い物品など特別なものだけ、打上げ直前に積み込み作業が行われるわけです。衛星フェアリング組立棟のクリーンルームの中で、つくばでの事前のテスト(リハーサル)通りに、打上げ用バッグに詰め込みます。宇宙メダカ実験に使用する宇宙用水槽などは、つくばからトラックで運び込んであるので、それも梱包作業を行います。打上げ日に向けて、作業は予定のスケジュール通りに進める必要がありますので、想定外の事態の発生は避けねばなりません。例えば、実際に「こうのとり」のラックに搭載する前に、事前にバッグのサイズを確認し、地上用のラックで搭載作業のリハーサルをしておきます。それが終了してから、いよいよロケットのある大型ロケット組立棟に運び込み、H-ⅡBロケットの先端に取り付けられている「こうのとり」へ搭載してもらうことになります。
 2012年7月17日の深夜に「こうのとり」への搭載作業が無事に完了しました。宇宙メダカ実験に使用する水まわりの実験器材が「こうのとり3号機」に搭載する最後の荷物となります。私の仕事もこれで完了なので、残念ながら打上げ前につくばに帰ることになります。その後、21日には予定通りに打ち上がりましたよ!
 ちなみに、「こうのとり」で打上げられたメダカ飼育装置は、星出宇宙飛行士により組み立てられ、機能点検を終えて受け入れ準備が整った後で、メダカはロシア・バイコヌール宇宙基地から10月に打上げられました。

手持ち輸送した実験器材(右)を打上げ用バッグ(左)に収納
手持ち輸送した実験器材(右)を打上げ用バッグ(左)に収納
 
地上設備で、打上げ用バッグ搭載のリハーサル作業
地上設備で、打上げ用バッグ搭載のリハーサル作業
荷物は準備完了。これから大型ロケット組立棟に運び、「こうのとり」に搭載してもらいます。
荷物は準備完了。これから大型ロケット組立棟に運び、「こうのとり」に搭載してもらいます。
 
H-ⅡBロケット先端の「こうのとり」への搭載風景。白いカバー(フェアリング)の中に「こうのとり」があります。作業者はカバーの横にある小さなドアから中に入り、「こうのとり」内部に垂直に吊り下げられて荷物を搭載します。
H-ⅡBロケット先端の「こうのとり」への搭載風景。白いカバー(フェアリング)の中に「こうのとり」があります。作業者はカバーの横にある小さなドアから中に入り、「こうのとり」内部に垂直に吊り下げられて荷物を搭載します。
 さて、後半は種子島宇宙センターとその近くの名所をご紹介したいと思います。種子島は高い山のない南北に細長い島で、長さは約60kmです。種子島宇宙センターは、東南端の海岸線に面しています。緑いっぱいの敷地に、海沿いに複数の発射場が配置され、緑と青と白い砂浜のコントラストがキレイです。そこを夏の海風が通り抜けてゆきます。敷地内の道路はアップダウンがあって、見える風景が次々に変わるので、そこも魅力かと思います。展示館や無料の見学ツアーもあるので、種子島ではNo.1の観光スポットでしょう。

大型ロケット発射場。左の白いビルがロケットの組立棟で、中央の紅白の塔の部分が射点です。
大型ロケット発射場。左の白いビルがロケットの組立棟で、中央の紅白の塔の部分が射点です。
種子島宇宙センターの展示館前。まさに南国
種子島宇宙センターの展示館前。まさに南国
種子島宇宙センターの見学ツアーでは、ロケットの実物を見ることもできます。
種子島宇宙センターの見学ツアーでは、ロケットの実物を見ることもできます。
 さて、種子島宇宙センターが世界一美しいかどうかですが、参考に他国の発射場の写真を紹介します。米国・NASAケネディ宇宙センターは緑と野生動物の多い広大な湿地帯で、ロシア・バイコヌール宇宙基地は緑の少ない果てしない荒野(砂漠)のようなところです。種子島宇宙センターは美しい自然がコンパクトにまとまり、立体的で箱庭のような美があるので、世界一かなと思います。どこの発射場も大自然の中にある点では違いはないのですが。皆さんは、どう思われますか。

ケネディ宇宙センター(左が発射場)
ケネディ宇宙センター(左が発射場)
 
バイコヌール宇宙基地(左が発射場)
バイコヌール宇宙基地(左が発射場)
 次は、門倉岬(かどくらみさき)です。種子島の最南端の岬で、1543年にポルトガル船が漂着し、鉄砲(火縄銃)が伝来した所です。当時、筆談で何とか意思疎通したとのことですが、種子島の人たちはビックリしたでしょうね。

門倉岬(鉄砲伝来の地)
門倉岬(鉄砲伝来の地)
 千座の岩屋(ちくらのいわや)は、種子島南部の東海岸にあります。波に浸食された洞窟があり、広い砂浜があって海水浴客で賑わっていました。その近くには、海水で育つ樹木群(マングローブ)が自生していました。種子島が自然分布での北限とのこと。

千座の岩屋(右手の岩に洞窟が見えます)
千座の岩屋(右手の岩に洞窟が見えます)
 
豊かな生態系を提供するマングローブ
豊かな生態系を提供するマングローブ
 種子島にはおいしい食べ物もあるので、温泉で旅の疲れを流した後、ぜひ郷土料理の店で試してみると良いですね。海の幸ではゾウリエビ、アサヒガニや各種新鮮なお刺身、山の幸では安納イモやマンゴーとか。細いタケノコの天ぷらは焼酎にあって絶品でした。また、インギー鶏というニワトリも特産品とのこと。明治27年にイギリスの帆船が座礁した時に助けてあげたお礼にもらい現在まで飼育を続けてきたそうで、イギリス人のことを「インギーさん」と呼んでいたことから名付けられたそうで、限られたお店で味わうことができます。

 それでは、このあたりで、種子島宇宙センターへの旅レポートを終わりにしたいと思います。つくばへの帰りはどうしたかって? それはもちろん種子島から飛行機でした!


■種子島宇宙センター 施設見学
http://www.jaxa.jp/visit/tanegashima/index_j.html

■宇宙メダカ実験の紹介ページ
http://iss.jaxa.jp/kiboexp/theme/second/medakaosteoclast/index.html
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