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コラム ―宇宙開発の現場から―

コラム―宇宙開発の現場から―
サチコの実験日記 Vol.8 宇宙実験の準備の話
皆さんこんにちは。私はJAXAで「きぼう」日本実験棟を使った生命科学実験の担当をしている矢野幸子です。今回は宇宙実験の準備の話をしたいと思います。

■ どうやって宇宙に行くのか

宇宙に行くにはロケット、スペースシャトルなどのように多くの燃料を積んだ乗り物が必要になります。日本の種子島宇宙センターからもH2BロケットでHTV(エイチティーヴィ、愛称こうのとり)が宇宙ステーションへ食料や実験機材などの物資を運んでおり、2009年11月の初飛行に続き、2011年1月の2回目の打ち上げも成功しています。ロシアはソユーズという有人ロケットを持っています。アメリカもスペースシャトルの引退後、民間のロケットを宇宙ステーションに向けて打ち上げる計画を進めています。このように国際宇宙ステーションへの輸送手段はあるとはいえ、その切符は貴重なものです。ロケット自体が高価なものですし、燃料もたくさん使います。また打ち上げを成功させるために多くの人が関わる国際的プロジェクトです。
その宇宙への貴重な切符を、科学の発展のために使っています。実験準備は真剣勝負です。


■ せっかくの無重力実験、準備は万全に

ですから、宇宙での実験は完璧に準備をして、実験の順番も全部決めてから宇宙飛行士に頼み、間違いのないように作業をしてもらいます。もちろん作らなくてなならない書類の数も山ほどありますので、私たちは日々、間違いのないようにチェックをしながら書類を作っています。
宇宙飛行士の手順はよく練っておきますので、宇宙に行ってから実施の直前に大きく手順を変えることは基本的にできません。時間も決められています。装置も誰が使ってもうまくいくように設計され、地上からモニターできるようになっています。大切な実験のチャンスですから、絶対に失敗できません。
生物の実験は液体で細胞を洗ったり、培地を交換したり化学固定薬を使ったりする作業がありますので、液体と気体の挙動が、重力がないところではどうなるのか、宇宙用に開発した器具が無重力でも機能するのか、などを確認します。特に液体と気体の挙動を短い無重力で確認しておく作業が必要です。
私は開発した実験器具が問題なく動くか確かめる検証試験を地上で行っていますが、無重力でも動作するかどうかを確かめるために、航空機を使って得られる20秒間の無重力実験を利用します。航空機実験も気軽にできるものではありませんので、慎重に準備をして実験に挑みます。
無重力になる前に自分の体重の倍の重力がかかる過重力状態になりますので、自分の腕がものすごく重く感じられます。そしてパイロットが加速を停止するとともに無重力になる。その時、体がふわっと軽くなります。パイロットの合図の声で自分の体が浮いているのに気がつくというわけです。無重力状態になったらすぐに、実験操作をします。一度過重力や無重力を体験すると、人間がいかに普段は感じない重力に左右されているかを実感できます。そして気体と液体の挙動や装置が重力に影響されているのかよく分かります。


■ 無重力実験のこれまでとこれから

これまでは落下塔を使った無重力実験を行いました。北海道の上砂川と、岐阜県土岐の炭坑跡の地面に掘った深い穴を利用して、カプセルを落として短い時間の無重力状態を作るという施設がありました。生物を落下させて状態を調べたこともあります。残念ながら今は閉鎖されてしまいましたが、多くの実験が行われました。その他、現在でも様々な規模の落下塔は運転されています。
航空機を使った実験は今でも頻繁に利用されています。飛行機で大きな速度に加速して、エンジンをアイドリング状態にして、飛行機を放物運動させます。この方法で、約20秒間の無重力状態を作り出すことができます。
スペースシャトルは約2週間程度の実験に適していました。スペースシャトルは2011年7月のフライトを最後に引退してしまいました。
今や国際宇宙ステーションで長い期間の無重力実験ができるようになりました。そこに日本人宇宙飛行士が住むこともできています。科学的な実験成果も続々と出ています。さらに確実な成果を目指して発展的な実験をすることが期待されます。

(2011/12/27)
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