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宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター
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コラム ―宇宙開発の現場から―

コラム―宇宙開発の現場から―
サチコの実験日記 Vol.13 インクリメントサイエンティストのお仕事~世界を相手に交渉する~
 今回は、私が国際宇宙ステーションでの実験を行うために実施している普段は目立たない活動について紹介します。

 国際宇宙ステーション(International Space Station, ISS)は、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ各国など15カ国1)の協力のもと建設され、運用されています。ISSで行われる実験では宇宙飛行士に働いてもらう必要がありますが、どのように計画されているかご存知でしょうか?
 ISSでは、果たしている役割をもとにそれぞれの宇宙機関が使える量が決められています。量というのは、宇宙飛行士の仕事時間、打ち上げ品や回収品の量、電力などです。私たちは配分された範囲を守りながら実験を計画しています。その計画の単位を「インクリメント(Increment)」と呼んでいます2)。NASAの公開ページではExpeditionとも呼んでいます。2007年からは有人輸送機ソユーズの往還を基準に、約6カ月を2インクリメントとして数えることになりました。このインクリメントは2個分まとめて計画管理され、例えば2012年9月から2013年3月をインクリメント33/34と呼んでいます。

 私は現在、ここ6カ月間JAXAのインクリメントサイエンティストを担当しています。インクリメントサイエンティストは特に分野(生命科学、物質・材料実験など)に限らず、この6カ月間の実験の代表として実験実施の時期と優先順位の調整をする係です。つまり、いつまでに、どんな内容の実験を、何時間かけてやる必要があるのか国際的に説明する仕事です。具体的には毎週火曜日の夜に電話会議でNASA, CSA, ESA, JAXA3)の4機関からの代表者が4週間分の実験の予定について順番に説明しています。ISSで実験を行うために宇宙飛行士に働いてもらう時間には限りがありますので、それぞれの実験に順位をつけます。たとえば、現在実施中のメダカ実験は順位が高く計画されました。この実験は2012年9月25日にメダカの水槽(Aquatic Habitat, AQH)にメダカを移し、水槽のポンプ運転を開始することにより、メダカ実験をスタートしました。メダカの水槽は今年7月に「こうのとり」3号機で運ばれ、星出飛行士によってきぼう内に設置され10月のソユーズで打ち上げられるメダカを待っていました。メダカ到着の前の日には水槽内の水を新しい水に交換し、ソユーズ宇宙船で到着後12時間以内にメダカを水槽に移す、というスケジュールが組まれていました。そのスケジュールを実現するために、時間制約や操作の内容を説明するのが私の仕事でした。メダカは速やかに水槽に移されないと困ってしまいますので、優先順位を上げて提案し、他の宇宙機関もそれを理解してくれたので、希望通りのスケジュールで作業をすることができました。実験の予定は4週間先まで説明するので、頭の中はいつも来月のことまで考えている感じ。同時に現在進行形の仕事も担当していますので、頭の中を切り替えて、仕事をしています。この仕事はチームで行っており、多数の人間がサポートしてくれています。これまでも複数のインクリメントサイエンティスト達が交代で、この6カ月間を担当することにより、宇宙での実験の実現を支えてきました。

 2012年10月は特に、小型衛星の放出微生物(Microbe-III)実験のサンプリング、植物の抗重力(Resist Tubule)実験4)の培養と化学固定など、JAXA実験が盛りだくさんでした。興味深い芸術「のびやかに暮らそうプロジェクト」実験も実施されました。実験を提案した先生方も、JAXAの実験担当者も大忙しだったこの10月5)、星出宇宙飛行士のおかげでたいへん充実した期間でした。また新たな成果がでることを心から楽しみにして、次の実験の説明をしていきたいと思います。

■知っていると得をする宇宙こぼれ話

1)国際宇宙ステーション計画に参加している国、15カ国とは日本、アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、オランダ、スペイン、ノルウェー、イタリア、イギリス、スイス、スウェーデン、デンマーク、ベルギー、ロシアです。なお、ブラジルは、アメリカと二国間協定を結んでいますので16カ国という場合もあります。

2)インクリメント(Increment)とはふだん聞きなれない言葉ですが、1年を2学期に分けているようなものです。ソユーズ宇宙船の離脱と到着を基準に、9月半ばに始まり3月半ばで終わる期間と3月半ばに始まり9月半ばで終わる期間に分けて管理しています。もともとの始まりは、2000年11月から宇宙飛行士がISSに長期滞在するようになったときからで、宇宙飛行士の長期滞在期間に番号をつけて呼んでいます。NASAのウエブページでは、Expedition32、Expedition33、というように番号がふってあり、滞在するクルーの紹介がされています。JAXAのウエブページでは、野口飛行士は第22/23次、古川飛行士は第28/29次、星出飛行士は第32/33次、若田飛行士は第38/39次、油井飛行士は第44/45次の長期滞在クルーであると紹介しています。

3)各国の宇宙機関
それぞれの国には、宇宙機関があります。アメリカならNASA、カナダはCSA、日本はJAXA。ヨーロッパの国は、国として宇宙機関を持ち、さらにヨーロッパとしてまとまった宇宙機関ESAを持っています。
NASA: National Aeronautics and Space Administration
CSA:Canadian Space Agency
ESA: European Space Agency
JAXA: Japan Aerospace Exploration Agency

4)植物の抗重力(Resist Tubule)実験については大阪市立大学のページもご覧ください。
http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/2012/gp701h

5)ISSきぼうウィークリーニュース(178号、11月1日発行)
http://iss.jaxa.jp/library/video/spacenavi_wn121101.html

(2012/12/07)
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