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宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター
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コラム ―宇宙開発の現場から―

コラム―宇宙開発の現場から―
サチコの実験日記 Vol.11 宇宙での生命科学実験で得られるもの
皆さんこんにちは。私はJAXAで「きぼう」日本実験棟を使った生命科学実験の担当をしている矢野幸子です。私はこのシリーズで宇宙での生命科学研究を紹介してきました。今回は宇宙実験の成果をお知らせする具体的な方法についてお話ししたいと思います。

JAXAの生命科学実験は人類の未来のため、豊かな生活のため、科学技術の進歩のために役立つテーマを選んで準備をし、実施しています。
JAXAは毛利衛宇宙飛行士が初めて飛行した1992年以来、スペースシャトルでの実験を実施しつつ、国際宇宙ステーションで実施する宇宙実験の準備を15年以上も進めてきました。そして2009年、国際宇宙ステーションの日本の実験棟きぼうが完成し、そこでの実験が現実になってから私たちは「長年準備してきた実験が現実になった、立派にやり遂げた、その成果を見てください」と全国様々な場所でシンポジウムや報告会を行っています。そこでは成果の報告とともに活発な意見交換がされ、一般の皆さんの宇宙への関心の高さにいつも驚かされています。
JAXAと共同研究した複数の研究機関は、宇宙実験の実施後に国際学会や英文の科学雑誌に学術論文を掲載しています。2009年から行われたきぼうでの実験試料は各研究者のもとで詳細な分析が行われていますので、今後ますます日本の実験成果を発表できることになるでしょう。

日本は自分の国の宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに長く滞在させることができて、宇宙で科学的な実験をしています。さらに、「日本はこれまでの経験と獲得した技術をアジアの代表として広めていく。一つの国のことだけではなく世界規模の技術発展に貢献する。」と言いたいと思います。国際的プロジェクトである宇宙開発の場面でも日本人はきちんと仕事をすると評判で、信頼を得ています。
日本は国際宇宙ステーションの日本の実験棟「きぼう」を建設しました。そして24時間体制365日休むことなく地上から運転しています。そのこと自体もすごいことですが、そこでやる実験の意義を私は次のように考えています。無重力環境での生きもの一つ一つの振る舞いは生物の一つのデータにすぎません。その背後にある自然科学の法則を推測して他の実験結果とともに体系化するのが科学です。宇宙実験で試すその前に十分な地上実験の積み重ねが必要になります。宇宙実験をすることによって、人類は重力という一つの条件を変化させた生命の振る舞いを見ることができたのです。地上ではなくすことのできない重力という要素を取り去った条件で繰り返し実験を行い、地球で進化してきた生物の性質と重力との関係を解き明かし、生物とは何か、どうやって進化してきて、将来どう変わっていくのかという大きな課題を解き明かすための道具と、証拠を得る。そのために宇宙開発を実施できる国というのは世界広しといえども数えるほどしかありません。私は、日本が研究開発を実施できる国であり続けたいと願います。そして、子供たちの学習のレベルを上げ、将来の日本の科学技術力をさらに上げるべきであると思います。
国際宇宙ステーション実験まで選ばれてから17年もかかった実験もありました。これからは短い準備期間で確実に繰り返し宇宙実験ができるようなルール作りと宇宙でもっと効率的に動く装置・要素技術の開発が必要になると思います。

■ 宇宙実験の仕事に必要な仕事のやり方、チームワーク

大きな宇宙プロジェクトの中ではチームワークのが本当に大切です。優秀な人間がたくさんいても正しい方向付けがなければ仕事は成功するとは限りません。
例えば病院でも、治療はチームワークがとても大切で、外科医・内科医・放射線専門医、それぞれが自分の専門を生かして患者の治療にあたるのだそうです。つまり、科学の発展と、チームワークは切り離せない課題ということです。
宇宙実験の成果は直接的には学術的な論文や報告書の発表ですが、宇宙実験で培ったシステムの構築も大切な成果といえると思います。宇宙実験は科学、工学の専門家、装置運転の専門家、そしてうまくそれらが統合するためのマネジメント、全てそろわないと成功しない巨大プロジェクトです。日本は宇宙プロジェクトを成功に導くことができました。この成功を子供たちは見ています。成功を次世代につなげることが大切です。
私は何かに行き詰まったら、まず自分のいる世界の外から考えてみることを心がけています。皆さんも当たり前の環境がどうして当たり前なのか、重力という枠から飛び出したらどうなるのかを考えてみませんか。宇宙へ近づく第一歩かもしれません。単なる夢ではなく、現実として宇宙のことを考える人が増えること。それが宇宙実験の成果の一つともいえるかもしれません。
おそらく、あと50年もすれば一般の人も宇宙旅行をする時代が来るのではないかと思います。重力から解き放たれ地球を眺めたら人生観も変わるかもしれません。まるで外国へホームステイするように、宇宙にしばらく滞在して地球に戻ってきた一般の人が体験談を語る時代が来るでしょう。その時のために今、宇宙で生命科学をはじめとする基礎研究をやっておくのが大切だと思います。

JAXAはシンポジウムの開催など、宇宙実験の成果を皆さんに分かりやすく提供し、議論を活発に行う機会を提供しています。そこで皆さんにお会いできることを楽しみにしています。

(2012/03/21)
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