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コラム ―宇宙開発の現場から―

コラム―宇宙開発の現場から―
【紀さんの宇宙あれこれ】 Vol.7 ファルコン9ロケットとドラゴン宇宙船(2)
前回はスペースⅩ社が開発中のファルコン9ロケットについてお話しましたが、ファルコン9のロケット主体の内容で終わってしまったので、初めにロケットの値段、打上射場、NASA(国家)の予算との関係などに触れ、そして予告したファルコン9ロケット再使用回収計画についてお話した後にドラゴン宇宙船に移りたいと思います。

ファルコンロケットに搭載のドラゴンカーゴとドラゴンクルーバージョンの2タイプ。
ファルコンロケットの安い打上げ費は、単純さ、信頼性と共に売りのひとつですが、具体的には、スペースX社のホームページによると、ファルコン1eロケットがクワジェリン射場からLEO(高度185kmの円軌道)へ1,010kgの人工衛星を打上げる場合、10.9$M(8.4億円@11月23日現在1ドル77円で換算、以下同じ)です。
クワジェリン射場はハワイ、ホノルルの南西約4,000キロメートルの北緯8度43分(赤道に近い)、東経167度44分にある世界最大級のクワジェリン環礁にあります。
ファルコン9ロケットは2013年の打上げ費は54$M~59.5$M (41.6億円~45.8億円)です。打上げ射場は、現在はフロリダ州ケープカナベラル空軍駐屯地(AFS)にある、以前タイタンロケット打上げに使用されていた射点SLC‐40を改修したものですが、カルフォルニア州バンデンバーグ空軍基地(AFB)とクワジェリン射場でも射点の整備が進んでいます。

開発中のファルコンヘビーロケットの打ち上げ費は、ケープカナベラル空軍駐屯地(AFS)から、LEOへ53,000kgの大型ペイロード打上げる場合で80$M~125$M(61.6億円~96.3億円)です。この打上げ能力はスペースシャトルやデルタⅣヘビーロケットの約2倍になります。

スペースX社は、ファルコンロケットとドラゴン宇宙船を2002年設立以来、民間ベースで開発を進めてきましたが、2006年NASAが将来の国際宇宙ステーションへの物資及び人員の輸送における民間活力の活用を目指して、打上げロケット開発等につき民間事業者を支援しているCOTS(Commercial Orbital Transportation Services:宇宙飛行デモンストレーション)プログラムで、オービタル・サイエンス社と共に選定され、298$M(230億円)の契約を受けました。
また、NASAはCCDev(Commercial Crew Development:商業有人宇宙輸送開発)第2回目として、軌道上及びISSへ安全に宇宙飛行士を運べる民間ロケットと宇宙船の開発を継続させる目的で、2011年4月18日4社と契約しました。スペースX社もドラゴン宇宙船の脱出システム開発に75$M(58億円)の契約を受けました。
ファルコン9ロケットはまだ2回と打上げ実績は少ないですが、資金的にも強化され、契約も増え、打上げマニフェストを見るとファルコン9ロケットが2012年から毎年4~6機の打上げ予定があり、2015年には10機以上の打上げが載っています。この中には、NASAとの契約で2015年までにISSへの12回の補給輸送フライトが含まれており、スペースX社独自開発の再利用可能な実験カプセルドラゴンラボ1号機も2014年の打上げ予定にあります。それから、注目される現在世界最大の打上げ能力を有するファルコンへビーロケットの初デモフライは2012年に計画されています。

ところで、ファルコン9の再使用回収計画ですが、ファルコンロケットは元々パラシュートで降下し、再使用し、コストを安くする構想で開発が進んでいました。しかし去る9月29日に発表された構想は、ファルコン9ロケットの推進薬を少し残し、ペイロードを切り離した後、第1段ロケットと第2段ロケットのエンジンをそれぞれ逆噴射し、機体を減速させ、地上に垂直軟着陸するもので、全段再利用するコンセプトです。
現時点では、机上での設計やシミュレーションの実施段階のようですが、イーロン・マスクCEOは再使用型ファルコン9ロケットの開発に強い意欲をもっており、再使用ロケットが完成すれば打ち上げコストは100分の1程度になるだろうと述べています。
同社が公開している動画によるとドラゴンにも同じ機能を待たせ、打ち上げロケットから帰還カプセルまで、全て逆噴射回収方式を狙っています。

逆噴射ソフトランディング方式の再使用回収ファルコンロケット1段ロケット、2段ロケット及びドラゴン宇宙船。
もちろん、機体の誘導制御、構造、推進系、空力加熱、使用材料の見直し等々技術的課題はあり、簡単にはいかないと思いますが、この発表は今までの使い捨てロケットの概念を一転し、世界の輸送系関係者に強烈なインパクトを与えたものと思います。
私は彼のこれまでの行動力を見ていると成功させる予感がしています。
この構想が成功すると、世界は廉価な宇宙への手段を獲得することになり、広範な分野で宇宙利用が進み、宇宙ビジネスあるいは科学研究、技術開発でも更なる展開が拡大する時代が来ることになることでしょう。

さて、いよいよドラゴン宇宙船の話ですが、この円錐型カプセルタイプの宇宙船はアメリカでは歴史が古く、アメリカ初の有人飛行をしたマーキュリー宇宙船、続いてジェミニ宇宙船があり、それらの経験を生かして開発され人類が初めて月面着陸したアポロ計画に使われ、サターンⅤロケットで打上げられたアポロ宇宙船(正確にはアポロ宇宙船の一部で地球へ帰還するのはアポロ司令船)があります。

それぞれの大きさは、マーキュリー宇宙船が1人乗りで底面直径1.9m高さ3.5m、ジェミニ宇宙船が2人乗りで直径3.0m高さ5.8m、そしてアポロ宇宙船が3人乗りで直径3.9m高さ3.2mです、参考までに11月22日古川宇宙飛行士が帰還したロシアの3人乗り釣鐘型ソユーズ宇宙船は直径2.2m、高さ2.1mです。やはりコンパクトですが小さいですね。

緊急脱出用ロケットを装着したマーキュリー宇宙船。1961年5月5日米国初の有人弾道宇宙飛行成功。 2人乗りジェミニ宇宙船(一部カット図)1965年3月23日初の有人飛行。
月への有人飛行計画の3人乗りアポロ宇宙船。1969年7月20日人類初の月面着陸。 2011月11月22日、雪のカザフスタンの草原へ帰還した古川宇宙飛行士が乗っていたソユーズ宇宙船TMA-02。
ドラゴン宇宙船は先端部のノーズコーン、円錐台型の与圧カプセルとその後部に接続される円柱状の非与圧トランクの3部分で構成されています。上面直径約2.4m下面直径3.6m高さ2.9mで、自重が4.2トン、打上げペイロード6トン、帰還ペイロード3トンの能力があり、滞在日数は1週間から2年間となっています。
ノーズコーンは打上げ後十分な高度に達した時点で分離し、ISSとのドッキングのための共通結合機構が露出します。その後ドラゴンはGPS(グローバル・ポジショニング・システム) やTDRS(アメリカの静止通信衛星)を用い、ISSに自動でランデブーした後、カナダアーム2によってハーモニー(ノード2)の共通結合機構 (CBM) に結合されます。また、ドラゴンは大気圏再突入能力を備えているので、実験試料の回収や乗組員の帰還に使用されます。
現在、ISSの近傍に近づく第2回目のデモフライトの準備が打上げ射点で行われています。スペースXでは2014年には人を乗せて飛行できるよう開発を進めているとのことです。
スペースシャトルが引退以降、ISSから宇宙飛行士の往還手段がロシアのソユーズしかないのは危機管理の面からも不安ですし、「きぼう」やISSで行なった成果物を地上へ極少量しか下ろせないのは宇宙利用の広がりを狭め、折角現存するISSという宇宙環境利用の場を十分生かせない状況にあるので、安全確認は十分に行うことはもちろんですが、1日でも早いドラゴン宇宙船が実運用になるの期待したいと思います。
次回は、スペースX社以外でも積極的に進められている他の有人宇宙飛行のお話をしたいと思います。(続く)

7人乗りドラゴンクルー構成図。 貨物用ドラゴンカーゴ構成図。
射場で最終整備中のドラゴンデモ1号機。作業員との大きさに注目。 ISSへ接近中の飛行中のドラゴン。
パラシュートで大気中を降下するドラゴン。 海上に着水し回収を待つドラゴン。
回収直後のドラゴンデモ1号機。打上げ直前の状態(2段目左)との違いに注目。
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