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JAXAの宇宙飛行士

ミッションも半分が終了し、折り返し地点です

#5

最終更新日:2012年6月18日
写真:潜水艇で移動中です(SF映画の中にいるような錯覚を覚えました)。ちなみに、潜水艇を操縦しているのは、NASAで一緒に訓練をした同期のセレーナさん(元お医者さん)です

潜水艇で移動中です(SF映画の中にいるような錯覚を覚えました)。ちなみに、潜水艇を操縦しているのは、NASAで一緒に訓練をした同期のセレーナさん(元お医者さん)です(出典:JAXA/NASA)

写真:サンプル取得中!作業に要する時間を計測すると共に、作業の難易等について評価、コメントを述べます

サンプル取得中!作業に要する時間を計測すると共に、作業の難易等について評価、コメントを述べます(出典:JAXA/NASA)

小型潜水艇との共同作業が始まり、試験の規模、複雑さも格段に上がってきています。これほど複雑な作業を海中で実施する事は世界的にもあまり前例がないので、チーム全体が緊張感を持ちながら作業をしています。

これまでにも、多くの有意義なデータを取得してきましたが、まだまだ十分ではありません。しかし、NEEMOに関わるすべての人達が協力しあって、最大限の努力をしています。チームの心は一つになっていて、一体感があります。我々クルーは勿論ですが、試験のサポートをしてくださるダイバーや運用管制員達も、プロ意識を持って仕事をしています。

宇宙飛行士1:「よし、次の目標地点は、5時の方向30m。時計回りで回転して目標に向かってくれ。」

潜水艇操縦士:「了解した。でも、アンビリカルケーブルの場所が自分には見えない。確認してくれるか?」

宇宙飛行士2:「今、手が空いているから、ビデオカメラで映像をそちらに送る。母船とミッションコントロールセンターで全般状況を確認してくれ。」

宇宙飛行士3 & 管制官:「素晴らしい映像をありがとう!全般状況が良くわかるよ!移動しても問題なさそうだ!」

試験統制官:「よし、潜水艇。移動開始を許可する!」

と言った会話が続いています。その会話の間にも、多くのサポートダイバーが、ツールの移動などで忙しそうに泳ぎまわっています。

今回の様なミッションに参加しているとき感じるのは、「自分の能力の限界を知る事も大事だな。」ということです。一方で、私は常々講演などで「人間の可能性も宇宙の可能性も無限大。チャレンジすれば、その努力は必ず報われる。」と言った趣旨の事をよく言っています。矛盾していますかね?

写真:試験中は大勢の方々が支援の為に働いています。将来の有人宇宙開発に貢献しているという誇りが感じられます

試験中は大勢の方々が支援の為に働いています。将来の有人宇宙開発に貢献しているという誇りが感じられます(出典:JAXA/NASA)

写真:訓練参加者の集合写真

訓練参加者の集合写真(出典:JAXA/NASA)

人間は努力すればする程、成長できるというのは事実だと思いますし、私が日々実感していることでもあります。しかし、一人の個人が出来る事には限界があります。自分自身の限界を知ると言うことは、自分がチームのどの部分に貢献ができて、どの部分では助けてもらう必要があるのかを正確に把握することでもあります。それぞれ得意な分野もあれば、不得意な分野もあることでしょう。あるいは、得意な分野であったとしても、周囲の環境が整っていなかったり、必要な情報が得られなかった場合には、能力が低下します。自分の能力の限界や不得意な分野を認めることは、他人の得意分野を見つけることに繋がって行きます。私は、個々の能力の限界を正確に知った上でチームに参加した時、その人個人の最高のパフォーマンスが発揮されるとともに、チームの能力が最大になると考えています。自分が他の誰よりも優れていると信じている人がいたとしたらどうなるでしょう?その人は、自分が優れていると信じているがゆえに、人の優れているところを見つけることが出来ず、人の助けを借りることができません。結果として、リーダーになったとしても、クルーのメンバーになったとしても、チームの全体のパフォーマンスを落とすことになってしまう事になりがちです。私は、自分が優れた人間ではないということを常に意識するようにしています。テストパイロットをしていた時、教官をしていた時、そして今も、優れた人間になりたいと思って努力はしますが、優れた人間になったとは決して思いません(だからこそ、宇宙飛行士候補者に選ばれた時、本当に自分でいいのかな?と思ったわけです)。そのおかげもあってか分かりませんが、私の周りには、私を助けてくれる人ばかりがいます。今回のミッションでも、自分の不得意な点や能力の限界は、はっきりと皆に伝えて手伝って貰っています(もちろん、自分で努力をした後での話ですが...)。

このような事を書いていると、私が日本の代表として、しっかり仕事をしているのか、不安に思われてしまうかもしれませんね。でも、何とかなっていると思います。私も42年間ただ歳を重ねてきたわけではありませんので、自分がチームに貢献できるところを、しっかり見つけて貢献しています。

皆さんも、機会があれば、自分の能力を一度冷静に見直してみた上で、今後の努力の方向性や、チーム内での位置づけについて考えてみると良いかもしれませんね。日本には、約1億2千万人の人がいるのですから、それぞれが日本というチームの一員として貢献できるところを見つけることが出来たら、日本は宇宙開発はもちろん、どのような分野でも世界一になれると信じています。何と言っても、チームワークは、日本人の最も得意とする分野なのですから...

 
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