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スペースシャトル搭乗宇宙飛行士の訓練

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スペースシャトルに搭乗する宇宙飛行士は、以下に分類されます。

  • 船長 Commander(CDR)

    スペースシャトルの操縦を行い、スペースシャトル飛行中の安全・保全の最終責任を有す。

  • パイロット Pilot(PLT)

    スペースシャトルの操縦を行い、船長を補佐する。

  • ミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者) Mission Specialist(MS)

    スペース シャトルの運用全般を担当し、ロボットアーム操作などのスペースシャトルのシステム運用や船外活動、パイロットの補佐などを行う。国際宇宙ステーション(ISS)の組み立てには、MSが中心的な役割を担う。

  • ペイロードスペシャリスト(搭乗科学技術者) Payload Specialist(PS)

    高度で専門的な知識を必要とする特殊ペイロードによる宇宙実験を行う場合にスペースシャトルに搭乗する技術者。スペースシャトルの運用には参加しない。

スペースシャトルに搭乗する宇宙飛行士になるためには、NASAが行っているMS基礎訓練コース、通称ASCAN訓練(AStronaut CANdidate:宇宙飛行士候補者)またはPSの訓練を修了した後、ミッション割り当て待機期間中の訓練を経て、搭乗が決まったミッションに合わせた訓練を受けることとなります。

ASCAN訓練

米国テキサス州ヒューストンにあるジョンソン宇宙センターを中心に行われているASCAN訓練に、NASDA(現JAXA)からMS候補者として若田光一宇宙飛行士が1992年8月~1993年8月のコース、土井宇宙飛行士が1995年3月~1996年5月のコース、毛利宇宙飛行士と野口宇宙飛行士が1996年8月~1998年4月のコースに参加し、それぞれMSとして認定されました。

ASCAN訓練は主にファミリアライゼーション(基礎)訓練、飛行訓練、スペースシャトルシステム訓練から構成されています。

  • ファミリアライゼーション訓練
    • オリエンテーション:NASA組織や訓練に関するオリエンテーションおよび各センターの施設見学
    • 一般教養訓練:宇宙科学、宇宙医学、軌道力学など、宇宙飛行士として必要な基礎的な知識について学びます。
    • 無重量体感訓練:KC-135Aという大型のジェット機で弾道飛行をすることで得られる20秒程度の無重量状態を利用し、無重量状態の感覚を体験します。
    • スキューバ訓練:MSに特徴的な活動である船外活動(EVA)の訓練は模擬宇宙服を着用して大型のプールに潜って行います。その予備訓練として、スキューバダイビングの訓練を行います。
  • 飛行訓練
  • 飛行訓練中の土井MS
    飛行訓練中の土井MS

    飛行訓練はASCAN訓練の大きな部分を占めており、T-38という二人乗りの小型ジェット機による飛行訓練を最初の2年間は年間100時間、それ以降は年間48時間以上行うことが義務づけられています。パイロットは前の座席で操縦を担当し、それ以外のMS候補者は後ろの座席で地上管制官との通信やナビゲーションを担当します。また、この飛行訓練の前に、緊急時適応訓練として、低圧環境体感訓練や緊急時のための緊急脱出訓練、パラセイル訓練、陸上・水上サバイバル訓練、水泳訓練、そしてもちろん講義も行います。

  • スペースシャトルシステム訓練:
  • スペースシャトルの構造・特性に関する概要説明や誘導制御・環境制御・通信・搭乗員などの各システムに関する講義から始まり、操作手順や緊急対処時の訓練を7段階に分けて行います。

これらの訓練を約1年かけて修了すると、正式にNASAからMSとして認定されます。

PS訓練

MSになるためのASCAN訓練はシャトルシステム全般に関する専門知識の修得と訓練を行うのに対し、PSの訓練はある特定ミッションの実験運用に関する専門知識の修得に主眼がおかれています。各項目別に比較すると、以下のような違いがあります。

  • ファミリアライゼーション訓練

    ミッションに関連するNASA施設の見学、無重量体感訓練は行いますが、一般教養訓練は実施しません。

  • 飛行訓練

    緊急時適応訓練後、T-38ジェット練習機によるファミリアライゼーション程度の飛行訓練を行います。

  • スペースシャトルシステム訓練

    シャトルシステム全般に関するファミリアライゼーションを行います。ロボットアーム操作、船外活動などの特殊システムの訓練は行いません。

ミッション割り当て待機期間中の訓練

ASCAN訓練を修了し、MSと認定されてからスペースシャトルミッションに任命されるまでの期間は、宇宙飛行士としての能力の維持・向上のために引き続きT-38ジェット訓練機による飛行訓練や語学訓練、体力トレーニング、スペースシャトルに関する詳細な項目の訓練に参加します。また、ロボットアーム訓練や船外活動、スペースシャトルランデブ訓練などの特殊システムの訓練、スペースシャトルの飛行模擬訓練もこの期間に行われることが多いです。

  • ロボットアーム訓練
  • 若田宇宙飛行士はSTS-72ミッションでロボットアームを操作して日本の宇宙実験フリーフライヤSFUを回収しましたが、ロボットアームはこのように衛星の放出や回収に使われるほか、船外活動中の宇宙飛行士を先端にのせて移動させることもできます。このロボットアームの操作訓練は、実物大のスペースシャトルのモックアップについているロボットアームで風船状の衛星を扱ったり、コンピュータグラフィックを使用したシミュレータにより行われます。

  • 船外活動訓練
  • 船外活動訓練中の土井MS
    船外活動訓練中の土井MS

    また、土井宇宙飛行士はSTS-87ミッションで日本人としてははじめて船外活動を行いました。土井宇宙飛行士はこのミッションで船外活動を担当するにあたり、のべ60時間以上にわたり、大きな水槽に潜って船外活動の訓練を行いました。この訓練では宇宙の無重量環境を模擬するために、宇宙で着るのと同じような宇宙服におもりをつけてプールに潜り、水から受ける浮力と重力をバランスさせて「中性浮力」の状態を作り出すのです。水の抵抗は残りますが、実際に宇宙で船外活動を行うのとかなり近い感覚で訓練をすることができます。JAXAの筑波宇宙センターにも、無重量環境試験設備という大きな水槽が整備され、ISSの「きぼう」日本実験棟のモックアップを沈めて「きぼう」日本実験棟の設計確認試験などが行われています。

  • 開発業務

    宇宙飛行士が地上でする仕事として、訓練の他に開発業務(Job Assignment)というものがあります。これはそれぞれの宇宙飛行士のバックグラウンドや経験を活かして、宇宙飛行士が関与するハードウェアをさらによいものに改良するために、宇宙飛行士の視点からハードウェア開発側にその評価を伝える、という仕事です。ASCAN日本人宇宙飛行士が担当している開発業務は以下のとおりです。

    • 毛利宇宙飛行士:スペースシャトル、ISSに搭載する日本のペイロード
    • 土井宇宙飛行士:
    • 若田宇宙飛行士:ロボットアームを中心とするロボティクス
    • 野口宇宙飛行士:「きぼう」とISSのペイロードインターフェース全般

ミッション固有の訓練

MSがASCAN訓練修了後約1年程で特定のスペースシャトルミッションへの搭乗を任命されると、その後は搭乗クルーとともにスペースシャトル共通訓練とミッション固有訓練に参加することになります。

スペース シャトル共通訓練は全てのスペースシャトルミッションに共通するスペースシャトルシステム訓練、緊急脱出訓練などが行われます。ミッション固有訓練は、それぞれのミッションにて搭載するペイロードの講義から始まり、その操作や運用の訓練、実際スペースシャトルが飛行している場合のタイムラインを模擬した総合シミュレーション訓練などが行われます。

最終更新日:2004年7月22日

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