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JAXA宇宙飛行士活動レポート

JAXA宇宙飛行士活動レポートに連載している油井・大西・金井宇宙飛行士が綴るコラム記事“新米宇宙飛行士最前線!”のバックナンバーです。
最終更新日:2012年7月20日

皆さん、NEEMO訓練中は多くの方に応援していただき、本当に有難うございました。おかげさまで、私も様々な面で大きな成果を挙げることが出来たと思っています。訓練の細部は訓練期間中の海亀編をご覧になると様子がわかって頂けると思います。さらに詳しいことが知りたい!という方は、昨年の大西さんの日記をご覧ください!私の数倍、詳細かつわかりやすく説明してくれています。

さて、今日は何の話をしましょうか?海亀編の日記の中であまり説明できなかったものの中に、通信遅れがあります。今回のミッションでは、太陽と地球の距離の約十分の一の距離にある小惑星を探査している事を想定して、片道50秒間の通信遅れを模擬しました。(光のスピードでも、その位時間がかかってしまうのです。)そのような状況の中で、どの様なツールを使用してコミュニケーションを図るべきなのかを明らかにしました。物事が計画どおりに進んでいる時は良いのですが、緊急事態の時などは、あらかじめ最適な方法を明らかにしておかないと、大変な事になってしまいます。宇宙開発の分野、警察・消防・自衛隊などは、情報伝達のプロが集まっています。それは、情報伝達の不備が、人命に直結するからです。

私は、情報の専門家ではありませんが、情報の扱いについては常々考えている事があります。今日は情報伝達の基本的な考え方について、日頃感じていることを紹介してみましょう。

情報伝達は、早く正確な方が良いのは当然ですが、それが同時に達成されることは稀です。早く情報が欲しい時は、その様に要望しても良いかもしれませんが、多少不正確であっても文句は言えません。本当に正確な情報が欲しい時は、分析・確認に時間がかかりますので、多少の遅れがあっても文句は言えません。

実は、情報は何かに使用してはじめて生きてきます。必要な情報が適時・適切な場所に提供され、判断に使用される事が重要なのです。その情報の伝達が遅れた場合や不正確だった場合に、どのような事態が発生する可能性があるのかを考えて、情報分析の方法、伝達スピード、伝達先等をあらかじめ分析しておくことが重要です。このように話してみると、良い情報は、あまり急いで伝達する必要がないことがわかりますか?良い事が起こっている時は、放っておいても事態は悪化しませんから、すぐに対処する必要がありません。悪い情報ほど早く伝達しなければならないのです。でも、これは本当に難しいことです。皆さんは、悪い報告や誤った報告を聞いた時、すぐに怒ったりしていませんか?(例えば、子供が外で怒られた事を報告してきた時や、会社で部下がミスをした事を報告してきた時、あるいは、速報が間違っていた時などです。)それは悪い報告や適時の対処に必要な情報の伝達を遅くする最も大きな原因の一つです。悪い報告を聞いた時こそ、その人を褒めてやるべきでしょう。悪化して行く事態を放置せず、適時に対処できるのは、その報告のお陰なのですから…。

さて、話は50秒間の通信遅れに戻ります。多くの人達から、「通信遅れのせいで意思疎通は大変だったでしょうね。」などと言われました。しかし、実際にはそれ程大変だとは思いませんでした。もちろん、音声で通信をしていて、聞き逃しがあると「もう一度言ってください。」と言って、さらに100秒以上待たなければなりませんから大変です。しかし工夫次第で、そのような事にならない様にすることが出来ます。例えば、「10秒後に重要な情報を送ります。」と、相手に聞く準備を促してから、情報を送れば聞き逃しのリスクを減らせます。また、秒単位の対処が必要でない場合は、チャットやメールなど、テキストの形で送れば聞き逃しは発生しません。

今回は、私自身にとっても情報の伝達について考え直す良い機会になりました。

以前にも申し上げましたが、宇宙開発の分野で最終的な方針を決定されるのは国民の皆様方です。必要な判断ができるように、良い情報だけでなく悪い情報をお伝えすることもあるでしょう。正確性を期すために、多少時間を要する場合もあります。しかし、皆様方の正確な判断のために必要な情報は、適時・適切に届けられるように引き続き努力していきます。そして、国民の皆様方の信頼を得られるように努力したいと思います。何と言っても、情報伝達は相互の信頼関係なしには成り立たないですからね。それでは、引き続きよろしくお願いします。

写真:地上のコントロールセンターです。様々な情報が集約され、適時・適切な判断が下されます。

地上のコントロールセンターです。様々な情報が集約され、適時・適切な判断が下されます。

写真:緊急事態発生(模擬)!地上との連携に、通信遅れの影響が!

緊急事態発生(模擬)!地上との連携に、通信遅れの影響が!

写真:地上で判断が困難な場合は、現場の対応に任せざるを得ない場合もあります。

地上で判断が困難な場合は、現場の対応に任せざるを得ない場合もあります。

※写真の出典はJAXA/NASA


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