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JAXA宇宙飛行士活動レポート

JAXA宇宙飛行士活動レポートに連載している油井・大西・金井宇宙飛行士が綴るコラム記事“新米宇宙飛行士最前線!”のバックナンバーです。
最終更新日:2013年3月26日

皆さん、ご無沙汰してます。年明けから大型の訓練が続いた関係で、先月のコラムをお休みさせて頂きました。1月に3週間、日本で「きぼう」と「こうのとり」の訓練があり、その後ヒューストンに1週間戻った後、ロシア・モスクワでの6週間に及ぶロシア語没入訓練を終え、再びヒューストンに帰ってきたところです。

今このコラムを書いているのが3月20日なので、年明けからほとんど家を空けていたことになります(汗)

というわけで、今月と来月はロシア語没入訓練について書きたいと思っています。多少の脱線も有りです。

この訓練は「没入」というだけあって、6週間ひたすらロシア語、ロシアの文化、ロシアに住む人たちについて勉強する訓練になります。

基本的な1日のスケジュールは、朝9時からお昼の1時まで4時間のマンツーマン授業、午後は週のうち3日はロシアの文化体験プログラム、それがない日は自習という感じです。

毎日沢山の宿題が出るので、家に帰っても夜遅くまで勉強という、受験生に戻ったかのような6週間でした。

人間の学習成長曲線というのは面白いもので、最初はすごい勢いで新しい知識を吸収していっても、次第にそのスピードが鈍化していくというのは、大概のケースに当てはまるのではないでしょうか。

今回の訓練もご他分に漏れず、最初の1週間は新しいロシア語の単語をどんどん覚えていくことが出来たのですが、日にちが経つにつれて、それはもう大変に苦しみました。

頭を少しでも傾けると耳から覚えた単語がこぼれていくような、もしくは新しい単語を覚えると、古い単語が一つ消えていくような・・・年のせいでしょうか。なんて言ったら油井さんに「そんなこと言ったら俺はどうなるんだ!」と怒られそうですが。

あたかも私たち人間の脳はハードディスクのように記憶容量が決まっていて、それが一杯になるとどんどん古い情報の上に上書きされていくような感覚に襲われました。

果たして本当に私たちの記憶容量には限りがあるのでしょうか?

いえいえ、決してそんなことはないと信じたいです。

地道な努力を続けていけば、例えそれが水たまりに1滴ずつ水滴を垂らしていくような作業だとしても、やがていつか池になり湖になり、大海になると信じて頑張ろう。

はい、早速話が脱線しました。

そんなこんなで徹底してロシア語を勉強する貴重な6週間となったのですが、それだけ集中して勉強していると、単語を覚える効率は落ちてきても、その中で何度も出てくる単語・表現というのが次第に見えてきます。そういう単語というのは、非常に使い勝手が良くて、重要な単語ばかりなので、後半はそういった単語を集中して覚えるように意識を変えたところ、また少し成長曲線に勢いが出てきたような感もありました。

どんな訓練にも言えることですが、自分なりに色々工夫をしてみるのは大事なことかも知れませんね。

6週間の間、3人の先生方が交替で教えてくださるのですが、どの先生も非常に熱心で、というかこちらが一生懸命勉強すればするほど、先生もどんどん熱心になっていくようでした。

ロシア語で教師という単語は учитель と書くのですが、この頭に一文字付け加えた мучитель という単語は、苦しめるもの・拷問する人という意味で、「учитель мучитель(教師というのは生徒を苦しめるもの)」というフレーズは、ロシアでよく言われるジョークだと先生が言っていました。何だか金八先生が黒板に書き出しそうなフレーズですね。

また話が脱線しました。

今月はモスクワという巨大都市について書こうと決めて、題名を「メトロポリス モスクワ」としたのですが、この調子ではいつまでたっても本題に入りそうにありません。書きたい話が沢山ありすぎて、このままではちょっとした短期集中連載になってしまいそうです。

私は司馬遼太郎さんの本を読むのが好きなのですが、司馬さんが作品の中でことあるごとに「余談ではあるが・・・」と本筋とは関係のない話を持ち出す気持ちがわかるような気がします。

先に「家に帰っても勉強」と書きました。勘のよい方はピンとこられたかもしれませんが、実はこの6週間の間、私はホテルではなく一般のロシア人家庭のお宅にお邪魔して、ホームステイをしてきました。ホームステイなんて高校1年生の時のカナダ以来です。

最初はとても不安でしたが、いざ行ってみるとホストファミリーの皆さんはとても親切で、快適な生活を送ることができました。そして何と言っても、ロシアの家庭料理がおいしい!全般的に日本人好みの味付けだと思います。

ホストファミリーはおじいさんとおばあさんも一緒に住んでいる家なのですが、中でもおばあさんがとても話し好きな方で、旧ソ連時代の話など色々と聞かせてくれました。

何より、ロシア人の生活を垣間見ることができたのがとても興味深かったです。今の国際宇宙ステーションでは、6人のクルーの半数にあたる3人がロシア人の宇宙飛行士なので、彼らの文化や生活習慣を理解するうえで、今回の経験が大きく役立ちそうです。

一例を挙げると、ヒューストンでロシア語を教わっている先生からも聞いていたのですが、ロシアでは昼食が一日の中で一番メインの食事になります。もちろん、仕事をしている人などはそういうわけにもいきませんし、昼食をとる時間帯が日本よりもずっと遅めだったりしますが。

例えば、午前中の授業を終えて午後3時くらいに帰宅すると、そこからボリュームたっぷりの食事が出てきて、夜は惣菜パンのような軽食しか出てきません。

日本の昼食と夕食の位置づけが入れ替わってるイメージです。

私の体内リズムは生まれてこのかた、完全に夕食メイン型に慣れてしまっているので、ロシア式だと夜中に勉強しているとお腹が空いて空いて・・・

仕方がないので、食事を夕方出してもらうように頼んだりしていました。

たかが食習慣、されど食習慣です。

異なる文化で育った人たちとの共同生活では、自分のスタンダードはあくまで自分にしか通用しないと認識しておく必要がありそうですね。相手には相手のスタンダードがあって、それはもしかすると自分のものとかけ離れている可能性があります。それはどちらが正しいというものではなく、双方が相手のスタンダードを尊重しあう必要があると思います。

写真:特別公開チラシ

チラシはこちら(PDF)

だいぶ長くなってしまったので、今月はこれくらいにしておきたいと思います。来月も引き続き、ロシア語没入訓練について書きますね。

最後にお知らせですが、きたる4月20日の筑波宇宙センターの特別公開に私も参加させていただくことになりました!多くの方々とお話できるのを楽しみにしています!


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