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JAXA宇宙飛行士活動レポート

JAXA宇宙飛行士活動レポートに連載している油井・大西・金井宇宙飛行士が綴るコラム記事“新米宇宙飛行士最前線!”のバックナンバーです。
最終更新日:2013年1月25日

皆さんは「宇宙飛行士」という職業を聞いて、どのような仕事を頭に思い浮かべるでしょうか?

宇宙服に身を包んで船外活動を行っている姿、宇宙ステーションで実験装置を操作している姿、宇宙船のコックピットで打ち上げの瞬間を待っている姿などなど。恐らくほとんどの方が、宇宙空間で仕事をしている姿を思い浮かべるのではないでしょうか?

かくいう私も、幼い頃から持っていた宇宙飛行士のイメージというと、真っ先にアポロの宇宙飛行士が月面に立っている姿を頭に描くような、まさにそんなイメージなのでした。

「宇宙飛行士」という仕事の奇妙さは、その本来の目的である宇宙で仕事をする期間が、キャリア全体の長さと比べたとき、著しく短い時間であるということでしょう。

例えば、10年以上宇宙飛行士として働いていても、実際に宇宙に滞在した期間は1ヶ月にも満たなかったりするわけです。

必然的に、宇宙飛行士はそのキャリアの大部分の時間を「待つ」ことに使うことになります。

私は、この「待ち」時間をどう過ごすかが、自分が宇宙飛行士として成長する上で、非常に重要だと思っています。そういう意味では、この「待つ」という言葉は受け身的な意味合いが強いので、相応しくないかもしれませんね。「備える」とか、「鍛える」とか、「磨く」といった言葉を使う方が適切でしょう。

では、どう過ごすか?

もちろん、多くの時間を訓練に費やすことになります。将来、実際に宇宙飛行する際に必要な知識・技術を身につけるために、日々訓練に励みます。それらは、英語・ロシア語という語学訓練や、船外活動訓練、ロボットアーム訓練、飛行機操縦訓練、体力訓練などなど多岐にわたります。

そしてそれ以外にも、NASAの宇宙飛行士室にはジョブアサインというものがあります。これはその名の通り仕事の割り当てで、具体的な将来の宇宙飛行が決まっていない宇宙飛行士は、必ず何らかの仕事を訓練以外に割り当てられることになっています。そうやって、訓練以外の業務を自ら経験することによって、より広い視野を身につけられるというわけです。

すっかり前置きが長くなってしまいましたが・・・、今月のコラムはこのジョブアサインについてです。

現在の私のジョブアサインは、宇宙ステーションに輸送される物資のマニフェストのチェックになります。ソユーズやプログレス補給機、日本の補給機「こうのとり」などによって宇宙ステーションに運ばれる荷物のリストをチェックして、実際にそれらを受け取る宇宙飛行士側の視点から不具合はないか、改善の余地はないかを確認するのが仕事です。

※写真の出典はJAXA/NASA

ソユーズは本来宇宙飛行士を運ぶ為の宇宙船なので、搭載されている物資の量も多くはありませんが、これが「こうのとり」などの大型の補給機となるとなかなか大変です。何せペン1本にいたるまで事細かくリストアップされるので、項目数が500を超えることも珍しくありません。それらに目を通して、ラベルは仕分けを担当する宇宙飛行士が理解しやすいように記載されているか、打ち上げられる前に実際に実物を見ておいた方が良いものはないか、などをチェックしていきます。

写真:宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)

宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)

それだけの量の荷物が一度に宇宙ステーションに到着するわけですから、その荷物の仕分け作業は、宇宙飛行士にとっても地上のスタッフにとっても、非常に大きな作業になります。

特に、現在の宇宙ステーションは物で溢れかえっていて、収納スペースをいかにして確保するかがスタッフの大きな悩みの種になっています。それらは生活に必要な物だったり、実験に使う器具だったり、酸素マスクなどの非常用装備だったりと、どれもそう簡単に捨てることのできないものばかりです。

引越しを経験された方なら、それをスムーズに遂行することがいかに難しいか、ご存知のことと思います。それが宇宙ステーションの場合、既に物が入った状態の家に、さらに荷物を満載したトラックが1台到着するようなものです。その荷物を上手に仕分けるには、あらかじめ家の中で不要になった物を1箇所に集めておいて、それによって空いたスペースに新しい荷物を収納し、最後にトラックに不要な物を詰め込んで捨てに行ってもらう、といった工夫が必要になってきます。

それらのプランを検討する会議に出席することもありますが、そこで実際にどのような話し合いがなされているかを知ることは、別の視点で物事をみる良い経験になります。

宇宙ステーションの運用には、宇宙飛行士と地上チームの連携が不可欠ですから、その双方の視点を養うという意味で、ジョブアサインは将来の宇宙飛行に向けたれっきとした訓練の1つと言えるでしょう。

ちなみに私は子供の頃から部屋の片づけが苦手で、特に机の上などはプリント類が散乱していて表面が見えなくなってしまっていることがよくありました。そのくせ、学校のテスト期間などに限って、勉強中におもむろに部屋を片付け始めるタイプです。

将来の宇宙飛行に向けて、こういったところも訓練していかなければいけませんね(^^;)


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