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JAXA宇宙飛行士活動レポート

JAXA宇宙飛行士活動レポートに連載している油井・大西・金井宇宙飛行士が綴るコラム記事“新米宇宙飛行士最前線!”のバックナンバーです。
最終更新日:2012年9月27日

みなさん、こんにちは。新米宇宙飛行士の金井宣茂(かないのりしげ)です。

先日、このコラムの担当者を通して、読者の皆さまから頂いたコメントをまとめたものをいただきました。温かい励ましの声ばかりで、あらためて、「毎日の訓練をがんばろう!」、「このコラムも書き続けよう」と元気をいただきました。ご感想をお寄せいただいた皆さま、そしてつたない記事に目を通してくださっている皆さまに、この場をお借りしてお礼申し上げます。

これからも、こんなことを書いて欲しいというリクエストや、宇宙飛行士の訓練や業務に関する質問、あるいは「もっとしっかりせい!」というお叱りなど、どんどんご意見やご感想をいただければと思います。必ずしも一つ一つの質問やリクエストすべてにお応えすることはできないかもしれませんが、本コラムだけでなく、今後の講演活動など様々な機会を通して、JAXAの活動や宇宙飛行士の仕事について、より興味深い情報発信ができるように活用させていただきたいと考えています。

さて、今月の記事では、8月に日本で行った訓練のご報告をしたいと思います。

今回の訓練は、茨城県つくば市にある、筑波宇宙センターで行われました。国際宇宙ステーションの一部である日本実験棟「きぼう」の訓練は、世界で、ここでしか受けることができません。日本人宇宙飛行士だけでなく、宇宙ステーションでのミッションが予定されている宇宙飛行士は、かならず来日して訓練を受けなくてはいけません。

写真:訓練の様子

出典:JAXA

短期間で、たくさんの授業と実習、そして試験を受けなくてはいけないので、忙しくて大変なのですが、「訓練でニッポンに行く」というのは、海外の宇宙飛行士にとっては楽しみな機会でもあるようです。

今回は、訓練パートナーとして、イタリア出身のサマンサ・クリストフォレティ宇宙飛行士とともに訓練を受けましたが、彼女は、訓練の合間の週末を利用して、京都に旅行に行ったり、富士山を登ったりと、日本滞在を最大限に満喫していたようです。

ところで、日本実験棟「きぼう」は、日本が運用する宇宙ステーションの一部(“モジュール”と呼ばれます)で、アメリカの運用するモジュールから電力や空気などの供給を受けつつ、筑波宇宙センターの内部にある管制センターから24時間体制でコントロールを受けています。

「きぼう」は、大きく「実験室」「保管室」「船外実験プラットフォーム」の3つの部分から構成されており、独自のロボットアームや、宇宙に物品の出し入れを行うエアロックなど、宇宙ステーションの中でもユニークな機能を兼ね備えています。

宇宙飛行士候補者に選ばれた直後は、まだまだそのすごさを十分には分かっていませんでしたが、宇宙ステーション全体の勉強を終えてから、あらためて「きぼう」について勉強すると、日本独自のアイデアや、新しい技術的挑戦などを理解することができ、「きぼう」を作り上げた技術者の情熱や工夫のすごさに、ただ驚かされるばかりでした。

「技術大国・ニッポン」とは使い古された言葉で、ご近所の中国や韓国などが技術力をつける中、ともすれば「それも過去の話」などと言われてしまうこともあるかもしれません。しかし、日本を離れて仕事をしていると、プロジェクトパートナーである日本の技術に対する厚い信頼感を、日々、肌身を通して実感することができます。

写真:「きぼう」日本実験棟

出典:JAXA/NASA

「きぼう」は、宇宙ステーションで一番大きいモジュールです。一番新しいモジュールでもあり、きれいで騒音も一番少ないことから(余談ですが、このあたりにも日本の“こだわり”を感じます)、宇宙ステーションに日本人が滞在していないときでも、記者会見や、教育イベントの場として使われていることが多いように思われます。NASAが独自に放映しているNASA TVや、ときには全米放送のニュースで「きぼう」の内部が使われているのを見ると、日本人としてとても誇らしい気持ちになります。

ところで、2008年に、土井隆雄宇宙飛行士のスペースシャトルミッションで「保管庫」の部分が最初に取り付けられて以来、すでに4年以上が経過していますが、その間、地上から休むことなく「きぼう」を守り続けてきた、日本の管制官の活躍も忘れてはいけません。

宇宙飛行士が常時滞在していますので、人間を危険にされすような故障や不具合は絶対に許されません。日本が初めて独自に作り上げ、初めて運用する宇宙船(正しくは宇宙ステーションの一部ですが、宇宙ステーションもシステムの上では巨大な一つの宇宙船と考えることができます。また日本の「きぼう」やヨーロッパの「コロンバス」は、それ自体が小さな宇宙ステーションとしての機能を備えています)ですので、想定していなかったような事象や、装置の故障なども起こります。しかしこれまで大きな問題なく運用を続けてきているというのは、開発段階からの「きぼう」の設計・製造の品質の高さとともに、厳しい訓練に裏付けされた管制官のみなさんのプロフェッショナリズムによるものが大きいと考えています。

そして、そんな日本が誇る管制官たちや、世界中から訓練にやってくる宇宙飛行士たちを、毎日厳しく鍛えているのが、つくばの訓練教官たちです。

わたし自身、NASAで宇宙飛行士候補者訓練を受け、全米各地から集まった優秀なエンジニアの教官たちに指導を受けて鍛えられましたが、今回は、日本の教官から、それに勝るとも劣らない知識と情熱で、熱血指導を受けることができました。いつでもニコニコ優しく、勉強のできない生徒を叱り飛ばすということはないのですが、生徒に対し、やるべきことをしっかりやらせるという点では、非常にきっちりしていて、日本人の真面目さ・几帳面さが非常に特徴的だと感じました。(念のために報告しますが、熱血教官の皆さんのおかげで、無事にすべての試験をパスして、「きぼう・オペレーター」という資格をいただくことができました)

ここまで記事を読んでくださった皆さんは、「いやいや、これはさすがに日本のことをほめ過ぎだろう」と思われるかもしれませんが、これが、普段はNASAの組織の中に入って仕事を行っている自分の、正直な感想です。

アメリカの人が、自国の宇宙開発に対して非常に高いプライドを抱いているのはもちろんなのですが、同時に、パートナーである日本やヨーロッパに対して、同じくらい厚い信頼感を持って一緒に仕事に取り組んでくれます。

20年前に、日本が初めてスペースシャトルで宇宙飛行士を宇宙に送った頃は、日本の宇宙開発など歯牙にもかけられなかったと聞き及びます。それが、今のような協力体制をとるようになったのも、これまでのJAXAのエンジニア、研究者、そして先輩宇宙飛行士の長年の努力によるものであると思います。

現在、自分たちが受けている信頼感や評価を、受けて当たり前のものと考えるのでなく、「これを継続するためには、今後、自分は何をしなければいけないのか?」と深く考えさせられる、今回の日本訓練でもありました。


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