サイトマップ

宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター
宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センタートップページ
  • Menu01
  • Menu02
  • Menu03
  • Menu04
  • Menu05
  • Menu06
  • Menu07

JAXA宇宙飛行士活動レポート

JAXA宇宙飛行士活動レポートに連載している油井・大西・金井宇宙飛行士が綴るコラム記事“新米宇宙飛行士最前線!”のバックナンバーです。
最終更新日:2012年7月20日

みなさん、こんにちは!新米宇宙飛行士の金井宣茂(かないのりしげ)です。

6月の半ばまでロシアの星の街で訓練を続けていましたが、無事にソユーズ宇宙船のシュミレーションも終了し、予定されていたロシアでの訓練をすべて終了することができました。昨年末から3回にわたってロシアへ出張し、合計12週間にわたる訓練でした。

写真:ロシアでの訓練期間中のひとこま。同時期にロシアで訓練をしていた打上げ直前の星出宇宙飛行士と、若田宇宙飛行士とのスリーショット。

ロシアでの訓練期間中のひとこま。同時期にロシアで訓練をしていた打上げ直前の星出宇宙飛行士と、若田宇宙飛行士とのスリーショット。

でも、この程度の出張は、まだまだ序の口。宇宙ステーションでのミッションに任命を受けている宇宙飛行士の場合は、宇宙飛行までの2年間の訓練の間に、さらに長い訓練をロシアで行うことになります(ロシアにだけ、ずっと滞在しているわけでもありませんが)。

そして、その2年の訓練を終え、7月に宇宙ステーションに旅立つ予定なのが、JAXAの星出彰彦飛行士と、NASAのサニー・ウイリアムズ飛行士です。最終試験を控えた2人にお別れをして、ひとり、ヒューストンに復帰しました。この日誌が掲載される頃には、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上がり、宇宙ステーションでの多忙な毎日を始めていることでしょう。二人ともがんばってください!

さてわたし自身といえば、2週間ほどNASAのジョンソン宇宙センターで、緊急時対処のための訓練と試験とを行い、来月はドイツにあるヨーロッパ宇宙飛行士訓練センターで、ヨーロッパ実験棟(通称・コロンバス)の訓練が待っています。その翌月は、日本の筑波宇宙センター、その次の月はカナダ宇宙庁と、世界中を旅して回っています。

飛行機を利用すれば十数時間で太平洋や大西洋をひとっ飛びに横断して、翌日には世界の裏側に到着し、すぐに訓練を受けることができます。わたしが子どもの頃に大好きだった本に、『八十日間世界一周』という話がありましたが、科学技術の進歩というのはすごいもので、今ならきっと、24時間以内で世界一周ができてしまうことでしょう。実に便利な世の中です。

半面、あまりに発達しすぎた技術に、人間の体のほうがついていけないという状況もでてきているように思います。海外出張に行くのも帰るのも、時差ボケにしばらく悩まされれるのを覚悟しないといけません。

日中でも肌寒いロシアから一転、6月でもすでに真夏日の、熱帯のヒューストンに戻ってくると、夏バテのような症状が出て、体調を崩しやすくなってしまいます。

時間や気候の急な変化に体がついていけないことのほかにも、たとえば、外国に行った先で、病気になったりケガをした場合、医療システムの違いから、必ずしも日本と同じように病院にかかることができないかもしれません。


わたしは、宇宙飛行士になる前に、海上自衛隊で医官をしていたので、船が太平洋の真ん中にいるときに急病人や大ケガが発生したらどうすればよいのか?外国の港を訪れているときに、患者が出たら、現地の病院にどうやって受診すればいいのか?日本にないような特殊な伝染病の予防接種はどうするのか?・・・そんなことばかりを心配していました。

さて、宇宙ステーションの生活を考えてみると、どうでしょうか?

宇宙ステーションは、グリニッジ標準時刻という時間に従って生活するので、世界各国をめぐって訓練をしていることに比べれば、規則正しい毎日のように思えます。

でも考えてみてください。宇宙ステーションは、たった90分で地球を1周するスピードで動いていますので、45分ごとに昼と夜とが繰り返されます。明るくなったから起きよう、暗くなったから寝ようというわけではないので、ちょっと不思議です。

また、起床・就寝のパターンが常に同じというわけでもなく、たとえば、物資補給用の宇宙船が到着するとなると、スリープシフトと言って、起きる時間・寝る時間を少しずつずらして、普段なら寝ている時間に作業を行うこともあります。眠たい目をこすってロボットアームの操作をするわけにもいきませんから、厳格な睡眠の管理が必要です。

四季のある地球とは違って、宇宙ステーションの中は、気温や湿度が常に人工的にコントロールされていますから、夏バテになることはなさそうですね。

もし、宇宙ステーションで病気になっても、病院にかかることはできません。クルーのうちの1人が必ず衛生担当者に指名されていて、地上でサポートしてくれるフライトサージャン(航空医官)の先生と相談をしながら対処します。

それでも手に負えないような重い病気や、ひどいケガをしてしまったらどうしましょう?そんなときは、宇宙ステーションに係留してあるソユーズ宇宙船に乗って緊急帰還しないといけません。地球上でも、たとえば海の真ん中で手術が必要な急病人が出たら、レスキューの飛行機やヘリコプターを呼んで、陸上の病院に緊急搬送してもらうのと、基本的な考え方は一緒です。

旅行に関する医学的な問題と、宇宙滞在中の医学サポートは、少し似たようなところがあると感じています。将来、誰もが安全・安心に宇宙旅行ができるようになるために、地上でのさまざまな知識や研究を生かすことができれば良いと思いますし、逆に、宇宙での医学の研究や経験が、地上での健康管理に活用されれば良いとも思います。

※写真の出典はJAXA/GCTC


≫バックナンバー一覧へ戻る

 
Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency サイトポリシー・利用規約