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JAXA宇宙飛行士活動レポート

JAXA宇宙飛行士活動レポート 2012年4月

最終更新日:2012年5月29日

JAXA宇宙飛行士の2012年4月の活動状況についてご紹介します。

写真:油井(中央)、大西(右)、金井(左)宇宙飛行士

今回のレポートから、新米宇宙飛行士、油井・大西・金井の3名が、米国での訓練の話題を中心とした活動の様子を、自らの言葉で綴ります。このコンテンツを通して、宇宙飛行に向けて訓練を積む3人の素顔が読者の皆さまに届けられればと思います。3人が執筆する「新米宇宙飛行士最前線!」をお見逃しなく!


星出宇宙飛行士、ISS長期滞在を目前に最後の帰国


写真:インストラクターから燃焼実験チャンバーに関する説明を受ける星出宇宙飛行士(右)

インストラクタから燃焼実験チャンバーに関する説明を受ける星出宇宙飛行士(右)(出典:JAXA)

国際宇宙ステーション(ISS)の第32次/第33次長期滞在クルーである星出宇宙飛行士は、4月下旬にISS長期滞在前最後となる帰国を果たし、「きぼう」日本実験棟に関わる訓練や記者会見を行ったほか、筑波宇宙センターの特別公開において講演を行いました。

筑波宇宙センターで実施した「きぼう」に関わる訓練は、最新の「きぼう」の運用計画に合わせて変更されたクルーの作業手順などの知識を補完する目的で行われ、小型衛星放出ミッションや、多目的実験ラックに搭載して使用する燃焼実験チャンバーに関わる訓練を行ったほか、文化・人文社会科学利用で実施するテーマについても訓練を行いました。


写真:筑波宇宙センター特別公開において行われた星出宇宙飛行士による講演(午前の部)の様子

筑波宇宙センター特別公開において行われた星出宇宙飛行士による講演(午前の部)の様子(出典:JAXA)

4月21日には、来場者数12,073人という、過去最高の来場者数を記録した筑波宇宙センター特別公開において、午前と午後の2回にわたり講演を行い、打上げまで3ヶ月を切った現在の訓練や準備状況の紹介に加えて、ISS長期滞在に向けての意気込みなどを語りました。午前の部では、JAXAの前身であるNASDAの職員として当時筑波宇宙センターで働いていた話や、宇宙飛行士候補者、さらには宇宙飛行士として、筑波宇宙センターから訓練をスタートしたことなどを懐かしく振り返った後、質問コーナーに移りました。質問コーナーでは、時間内では全員に当てられないほどの数の挙手が会場からあり、「これまでの訓練で最も辛かったことは何?」、「どうしたら宇宙飛行士になれますか?」など多くの質問が寄せられました。また、JAXAが毎月ウェブで配信している「JAXA宇宙航空最前線」のライブ放送として行われた午後の部では、司会者による進行により、インターネットを通じた質問にも答えるなど、来場者以外の方々にも星出宇宙飛行士を身近に感じてもらえる機会となりました。この2回の講演以外の時間には、筑波宇宙センター内を回り、各催し物を楽しむ来場者と交流を深めました。


写真:4月25日に行った記者会見の様子

4月25日に行った記者会見の様子(出典:JAXA)

4月25日には、東京都千代田区の日本プレスセンターで記者会見を行い、ミッションに向けた抱負や意気込みを語りました。

星出宇宙飛行士が打上げ前最後の帰国期間中に記者会見を実施
星出彰彦宇宙飛行士

若田宇宙飛行士、筑波宇宙センターで「きぼう」に関わる訓練を実施

国際宇宙ステーション(ISS)の第38次/第39次長期滞在クルーである若田宇宙飛行士は、4月はじめに日本に一時帰国し、「きぼう」日本実験棟に関する知識や運用技術の更なる向上を目的とした訓練を筑波宇宙センターで実施しました。

若田宇宙飛行士は、第39次長期滞在時に、ISSのコマンダーとしてISS全体の運用を指揮することになりますが、JAXAが開発した「きぼう」のスペシャリストとしての役割もあるため、「きぼう」に関して、他の滞在クルーよりも高い知識レベルが要求されます。


写真:ロシアの宇宙飛行士とともに「こうのとり」のミッション概要について訓練を受ける若田宇宙飛行士(奥)

ロシアの宇宙飛行士とともに「こうのとり」のミッション概要について訓練を受ける若田宇宙飛行士(奥)(出典:JAXA)

若田宇宙飛行士は、およそ1週間にわたる訓練を通して、「きぼう」の各サブシステムに関する知識や運用方法、搭載機器の操作・扱い方・メンテナンス方法のほか、「きぼう」で緊急事態が発生した際の対応方法について確認しました。また、宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)に関わる訓練も行い、打上げから再突入までのミッションの全体の流れを復習するとともに、「こうのとり」に搭載するラックや機器のモックアップ(実物大の訓練用模型)を使用して、ISSへ運ぶ物資の収納状況などを確認しました。

若田光一宇宙飛行士

野口宇宙飛行士、第25回世界宇宙飛行士会議の開催に向けてサウジアラビアを訪問


写真:準備委員会に集まったメンバーでの記念撮影(野口宇宙飛行士は右から4人目)

準備委員会に集まったメンバーでの記念撮影(野口宇宙飛行士は右から4人目)(出典:SPA)

宇宙探検家協会(Association of Space Explorers: ASE)の常任理事を務める野口宇宙飛行士は、2012年11月にサウジアラビアで執り行われる予定の第25回世界宇宙飛行士会議の開催準備を行うために、4月下旬にサウジアラビアのリヤドを訪れました。

ASEは、世界各国の宇宙飛行士によって構成される組織で、およそ年に一度のペースで世界宇宙飛行士会議を開催しています。ASEは、宇宙開発への貢献や有人宇宙活動の国際協力はもとより、科学技術教育の促進、環境問題の意識増進なども目的に活動しています。

今回の開催準備においては、会議の日程や会場などの調整をはじめとして、開催テーマや会期中の議題など、会議の開催に向けた具体的な中身についても準備委員会と話し合い、決定しました。野口宇宙飛行士は、11月に再びサウジアラビアを訪れて会議に参加する予定です。


油井・大西・金井宇宙飛行士による活動報告「新米宇宙飛行士最前線!」

※ 訓練状況などにより、執筆をお休みさせていただくことがあります。


6月のNEEMOに向けて、準備訓練が行われました。今回のミッションでは、将来の小惑星探査を模擬した、さまざまな作業が計画されています。そのため、小惑星探査の重要性を学んだり、小惑星での船外活動で使用するツールの使用法について訓練を行ったりしました。小惑星探査の講義中に感じたのは、日本は小惑星探査の分野において、世界一の先進国として認められているということです。講義の中でも、「はやぶさ」の成果が数多く使用されていました。これらの成果が無ければ、有人小惑星探査の準備を開始することすら困難であったと思います。

また、今回のミッションは海中での活動が主になりますので、泳力の検査も行いました。基準は、

①400mを12分以内

②潜水水泳25m

③立泳ぎ10分間

の3つです。正直言って、水泳はあまり得意ではないのですが、名前に「亀」の字を使い、コールサインで「サメ」と呼ばれる以上、ここはしっかり基準をクリアしないといけません!クルーの皆と一緒に事前練習を行った上で本番に臨み、無事全員基準クリアーしました。

さらに、NEEMOでは、海底で何か不測の事態が発生した際に、気圧差の関係ですぐに浮上することが出来ないため、応急手当や心肺蘇生法についても訓練を受けました。これらの技能は、使用する機会が無ければ、最高なのですが、「考えたくない事態について事前に考え、準備する。」というのは、どの分野でも共通な成功の秘訣の一つです。今後も、NEEMOミッションの成功に備え、残り少ない時間を効果的に使って準備していきたいと思います。

NEEMO: NASA Extreme Environment Mission Operations

<参考>

無重力の状態を模擬するためには、いくつかの方法がありますが、それらにはそれぞれの特徴があります。

写真:NBLでツールを使用する訓練

NBLでツールを使用する訓練

NBLでは、水による浮力を利用して、無重力の状態を模擬します。ただし、宇宙空間と異なり、水の抵抗が存在するため、移動を始めるのが大変で、止まるのは容易です。(宇宙で作業する際は、移動を始めるのは簡単ですが、止まるのが大変です。)

写真:ARGOSでツールを使用する訓練

ARGOSでツールを使用する訓練

ARGOSでは、コンピュータで制御されたケーブルに、天井から吊り下げられる形で無重力を模擬します。NBLと異なり抵抗が少ないのは良いのですが、無重力を模擬できない姿勢があります。(頭の位置を上下する運動や、体を左右に向ける運動は模擬できません。)

これらの違いを踏まえ、適切な方法を選んで訓練をすることが重要なのです。

NBL: Neutral Buoyancy Laboratory

ARGOS: the Active Response Gravity Offload System

(写真の出典はJAXA/NASA)




今月から月1で訓練のこと、その他の仕事のこと、近況などについて、書いていくことになりました。普段、私たち宇宙飛行士がどんなことを考え、どんな生活を送っているのか、皆様にご紹介していきたいと思います。

今月は、T-38ジェット練習機による操縦訓練の模様についてです。

写真:T-38

どうして宇宙飛行士に飛行機を操縦する訓練が必要なのか、その疑問はひとまず置いておいて・・・

写真がそのT-38です。T-38は50年以上前から使用されている、多くのアメリカ空軍パイロットを育ててきた練習機です。50年というと私が生まれるずっと前ですし、まだ世の中はようやくカラーテレビ放送が始まった頃です。そんな古い機体が・・・、と思われるかもしれませんが、実際にはその後何度も改修を重ねて現在に至っています。NASAで使用されているT-38は独自モデルで、コックピット内はハイテク化されていて、速度計や高度計は1つのディスプレイに集約されていますし、GPSも搭載されています。

エンジンは胴体の両脇に左右1つずつついていて、写真を観てお分かりになる通り2人乗りの仕様になっています。私たちの訓練では、前席にアメリカ人のパイロット宇宙飛行士かフライト教官が乗り、パイロットでない宇宙飛行士や私のようにアメリカ人でない宇宙飛行士は、後席に乗ります。後席からは前方の視界が悪いので、離着陸の操作は行えませんが、それ以外の部分では飛行機の姿勢を示す計器を使って飛行機を操縦することも可能です。

4月のある日。この日は他の訓練が何も入っておらず、ちょうど私の同期のScott Tingle宇宙飛行士が飛ぶT-38の後席が空いていたので、終日T-38の飛行訓練を行うことに決めていました。最近はパイロット宇宙飛行士が少なくなってきていて、人数バランス的には後席要員の方がずっと多いので、飛行訓練の機会は熾烈な早い者勝ちです。こまめに自分のスケジュールとT-38のスケジュールをチェックして、後席が空いていれば迷わず取りにいかないと、すぐに埋まってしまいます。

出発予定時刻の1時間前、朝の7時にエリントン飛行場に到着しました。天気は良好。これならどこに行っても、天気の心配はなさそうです。Scottと話し合って、今日の飛行ルートを決めました。

エリントンから出発してエルパソを経由し、フェニックスまで行って昼食。帰りはミッドランド経由で戻ることにしました。ルートが決まると、あとは各空港の情報や、緊急時の対処などについてお互いで確認します。例えば、閉鎖されている滑走路は無いか、2つあるエンジンの内1つが止まってしまったらどうするか、無線機が故障してしまったらどうするか、などです。

必要な情報が揃って、準備が整ったところで、いざ出発です。Scottが前席でエンジンを始動する間、私は後席で出発許可を管制塔からもらったり、コックピット内の装置をセットアップしたりと大忙しです。

ところが、エンジンを始動したところで、トラブルが。

それぞれのエンジンに1つずつ付いている発電機のうち、右側の発電機が作動していないことを示す警告灯が点灯しています。整備員の指示に従って、Scottがトラブルシュートを試みますが、残念ながら復旧しません。このままの状態では出発できないので、仕方がありませんがエンジンを止めます。

実際には発電機が1つ使えなくても、残りの1つから電力を全てのシステムに供給することは可能です。さらには、両方の発電機が壊れても、最後の砦として飛行機には大きな電池が搭載されているので、その電池から飛行に最低限必要な計器や機器に電力が供給されるようになっています(ただし20分ももちません)。

要するに、重要なシステムには何重ものバックアップがあるわけで、だからこそ飛行機は安全な乗り物なのです。

今回の場合、そのうちの1系統が作動していない状態なので、そのままの状態では出発できないのです。こういった安全性を第一に考えるという点は、まさに宇宙飛行に共通する点で、私たち宇宙飛行士が訓練で飛行機を使用する理由の1つとなっています。

幸い、この日は予備の機体をすぐに用意してもらえたので、その機体に乗り換えて再出発することになりました。運が悪ければ、貴重な飛行訓練の機会を丸1日棒に振るところでした・・・

と、ここまで書いたところで、なんと当初予定していた分量を使い果たしてしまったので、飛行中の様子は来月のレポートでお伝えしたいと思います。

To be continued...



(写真の出典はJAXA/NASA)




はじめまして、新米宇宙飛行士の金井宣茂です。今月から、定期的に、日々の業務や訓練のことなどについて、JAXAホームページの紙面を使って、自分で報告させていただくこととなりました。今回は記念すべき、第一回となります。

題名を「旅日誌」とつけさせていただきましたが、これは、国際宇宙ステーション搭乗のために訓練を受けている宇宙飛行士が(これまでのスペースシャトル時代の宇宙飛行士と異なり)、宇宙ステーション計画に参加しているアメリカ・ロシア・日本・ヨーロッパ・カナダの各国を頻繁に移動して訓練を受ける機会が多いためです。

普通の人がなかなか経験できない、宇宙飛行士訓練という珍しい体験をご紹介するとともに、JAXAについてはもちろんですが、NASAをはじめとする世界各国の有人宇宙プログラムの現場の雰囲気もお伝えすることができればと考えております。

さて、今月(4月)は、アメリカ・テキサス州のヒューストン(NASA)で訓練を受けました。宇宙ステーションは、大まかに、アメリカ側モジュール(日本・ヨーロッパを含む)とロシア側モジュールとに二分されますが、今月のわたしの訓練は、この「アメリカ側モジュール」のシステムの勉強です。

ここで「システム」と書きました。この場合、宇宙ステーションを、超巨大な宇宙船と考えてください。宇宙ステーション計画の大きな目的は、『宇宙の実験室』として、さまざまな科学実験を行うことにありますが、これを一つの『宇宙船』として考えた場合、人間が生きるための空気や水・室温などの環境を整えたり、地上の管制官とやり取りをするための通信機能を維持したり、そもそも、きちんと地球の周りを一定の高度や姿勢を保ちながら飛行し続けたりする必要があります。

これらの機能はそれぞれ、「生命維持」、「通信」、「ナビゲーション」など、宇宙船として絶対に必要な機能として、いくつかのシステムに分類されており、宇宙飛行士は、それぞれのシステムについて、別々に訓練を受けていきます。学校で、国語、数学、英語、物理、日本史と、科目別に勉強をするのに、ちょっと似ているかもしれません。

学校の勉強と同じ、という点では、最後にテストを受けて試験に合格しないといけないところも一緒です。

わたしの場合、このアメリカ側モジュールの勉強をするのは、宇宙飛行士候補者訓練(NASAでは、アストロノート・キャンディデート、略してアスキャンと呼びます)に引き続いて2回目になります。宇宙ステーションも、アスキャン時代と比べると、新しいモジュール(部屋)が追加されたり、より便利なデータ処理の方法が導入されたりと、どんどん新しくなっていますので、常に勉強を続けなくてはなりません。

今月は、宇宙ステーションが、さまざまな機械をいっぺんに動かすことでオーバーヒートしないように冷却をする「外部冷却システム」の試験と、毎日の生活を管理するための「デイリーオペレーション」というシステムの試験を受けて、見事に合格することができました!

とくに、デーリーオペレーションの訓練では、食料が余ったり、逆に足りなくなったりしないように、どうやって管理したら良いのか、ゴミはどうやって捨てたら良いのか、メモ用紙や鉛筆、毎日着るTシャツ、タオルやトイレットペーパーなど、生活にはなくてはならない品物が、一体どうやって宇宙ステーションに運ばれ、保管されているのかという勉強をしました。

なんだかひどく生活感を感じる訓練科目で、映画に出てくるような宇宙飛行士の格好良さは感じませんが、「宇宙で生活をする」ということを現実感を持って、あらためて考えさせられる内容でした。

「宇宙飛行士の仕事」、というと、どうしても宇宙飛行を行っている場面を想像しがちですが、その仕事人生の大半は、地球上で訓練をしたり、さまざまな開発業務に携わったりして過ごしています。そして、それらの地上での訓練や業務は、(厳しいことも多いですが)見たことも聞いたこともないような興味深い体験ばかりです。

せっかく、このように直接自分でご報告をするチャンスをいただきましたので、珍しい宇宙飛行士訓練の経験の一部を、引き続きご紹介できたらと思います。



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